大停電の夜に(渋谷シネパレス)

光と闇の対比が非常にきれいな映画.きれいな夕焼けから始まり,闇の中の光のきらめきの中でさまざまな人間模様が描かれ,再びさわやかな朝焼けで終わる.撮影監督の永田鉄男の面目躍如というところである.また,バーのセットの雰囲気もすばらしいとしかいいようのない.これだけでも,劇場で見る価値あり.

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また,俳優陣が非常にすばらしい.特筆すべきは,キャンドルショップのちょっと「不思議ちゃん」な店主を演じた田畑智子で,渋くてカッコイイとしかいいようのない豊川悦司との絡みで,一人の女性のさまざまな側面を見せている.また,原田知世は,揺れ動く女心を見事に演じており,彼女の持つ独特の透明感は今でも健在だ.吉川晃司は不器用だけどまっすぐな心を持つ元ヤクザという,非常に難しい複雑なキャラクターを見事に表現している.

ただし,おしむらくは,脚本が全然ダメ.見事な撮影陣の技術と多くの俳優の見事な演技を全然生かし切れない「浅い」「軽い」脚本.一体誰かと思って調べたら,案の定相沢友子だった(苦笑)こういう映画は,確かに彼女には荷が重いな.