フラガール(渋谷アミューズCQN)

さて,二度目のフラガール

早起きして良い席をゲットして見直した結果言えることは,やはりこの映画は良い…今年一番の映画であることだ.安易な恋愛や説明じみた台詞は一切なく,とにかく登場人物の心と心のぶつかり合いを素直に描いている.実直で無骨で単純だが,それゆえに見る人は感動するのであろう.

そして,やはり松雪泰子蒼井優が,完全にはまり役である.平山まどかは挫折を何度か経験したゆえに相当屈折した心の持ち主だが,炎のような情熱とのせめぎ合いの中で,ダンサーから教師に変わっていく様子を見事に演じている.彼女を一言で表せば,とにかく「怒り」であろう…ただ,その意味が自分に対するものから,教え子に対する愛に基づくものに変わっていくのだ.

また,「虎ノ門」で井筒監督が絶賛して,こいつを使いたいとまで言っていた蒼井優.先生が「怒り」なら,教え子の谷川紀美子は「笑顔」である.これは,悲しみや苦しみを乗り越えた上でのプロのダンサーとしての「笑顔」であり,前半のまどかの「怒り」から,後半の紀美子の「笑顔」へと焦点が移っていき,特に最後のシーンの彼女の満面の笑顔(泣き顔?)がとにかく印象的である.

あと,紀美子の兄役の豊川悦司,母役の富司純子,幼なじみの父親役の高橋克実も見事だったと思う.

映画好きなら,この映画は見ておいた方がいい.アカデミー賞でも,いい評価が得られることを期待したい.