おいしい燗酒の飲める店とは

最近仕事・雑用が忙しくて夜が遅い(出張準備,某勉強会,社内勉強会,特許,翻訳,某?SR関係ブログ準備,次の論文準備…サボっているうちに,とんでもない量になってきたかも…)のと,内臓脂肪を減らしていることもあって,飲みは誘われた場合(あまり断らない(笑))ぐらいに減ってきてしまって,自分で行く場合はどうしてもおいしい燗酒の飲める店に足が向いてしまう.別に吟醸酒がすべて飲めないとか飲まないというわけではないのだが,私はあまり吟醸香が派手でなく,酸がしっかりしてボディのある食中酒が好きなので,吟醸酒を3杯(私の標準飲酒量)推薦してもらう場合は,1杯好みがあればラッキーという感じで確率が低く,またそれを当たり前だと受け入れてしまっていた.しかし,おいしい燗酒を出してくれる店は,たいてい3杯とも好みなので,やっぱりね.

なお,ここでいう「燗酒」とは,ベタ甘で,くどくて,まずい,たいていの人が想像する「あの酒」ではない…実際私は学生時代にコンパで飲まされたのはこの種の燗酒だった.そうではなく,軽やかで,コクがあって,暖かで,しかも強烈にうまくて料理に合う「まったく別の酒」なのだ.

さて,燗酒にはまっているにもかかわらず,残念ながらまだそんなに良い店というのは多くは知らないが,ここで私の短い経験で知った「おいしい燗酒の飲める店」の10の条件をリストアップしてみたい.

  1. 「お燗はしません」とは言わない店.実は,今日本酒を売り物にしている店は,これが非常に多い.
  2. お燗できるのが,特定少数の酒に限定されない店.たとえば,自動式の酒燗器がおいてあるとか,高い酒はお燗しないという方針の店も非常に多い.
  3. お燗用に用意してある酒が,普通酒本醸造酒ではない店.必ずしもまずいというわけではないけど,やはり強烈な燗あがりを味わえるのは純米酒である.添加されたアルコール分はあまり味が変わらないからね.
  4. 吟醸香が強くすっきりした酒ばかりではない店.こういう酒はお燗してもおいしくなるとは限らない.
  5. 酒質に応じた燗をつけてくれる店.ぬる燗だけに限定している店や,頼んでも燗の温度調節がうまくできない店も多い.
  6. お燗用の酒は冷蔵庫に入れない店.日本酒は開栓後も味が変わるが,お燗しておいしくなるしっかりした酒は,常温保存した方が,苦味や生香が飛び,熟成しておいしくなるのだ.これは同じ酒でも決定的な味の違いを生み出す.
  7. お燗用の酒が多い店.たとえば店内を見渡して,冷蔵庫に入れていない日本酒が沢山ある店が良い.
  8. タンポで湯煎してくれる・させてくれる店.適切な温度管理をするためには,湯煎がよいようだ.
  9. 錫のタンポを使う店.やはり,錫のタンポの方が,味がまろやかになるようだ.
  10. お燗番のいる店.すでに死語になりかけているかもしれないが,お燗番は非常に重要だ.燗酒が好きで,どのようにしたら最大限に味が引き出せるか…を熟知しているお燗番がいてくれれば,いつでもおいしく味わうことができるのだ.井のなかなら工藤氏,松の屋ならるみちゃんである.

で,これらの条件をすべて満たすのは,私の中では井のなかと松の屋だけかな.もしこんな店を他に知っていたら教えて欲しい.よろしく頼むよ.