HERO(吉祥寺東宝)

HEROが戻ってきた!2006年7月3日に放映されたスペシャル版では,舞台は東京地検城西支部ではなく山口地検虹ヶ浦支部で,はっきり言ってあまり面白くなかった.というのは,HEROの良さは久利生公平自身だけでなく,一見反目していたり,喧嘩しているようでも,その根底に互いへの信頼や信念が潜んでいる彼を取り巻く城西支部の人たちとの人間模様…特に松たか子演じる雨宮舞子との関係…にあるからで,彼らがいないとHEROではないからだ(ただし,この映画ではスペシャル版の内容が良い形で引用されている).そして,この映画版では,冒頭からそれを存分に見ることができ,6年間のギャップをまったく感じさせない.
ストーリーはよく練られており,いろいろなところに伏線が仕込まれていて,それが意外な形で具現化する.中盤の大学ノートのエピソードは結構良かったし,自分の心を決して素直に口に出せない二人が,どのように愛を伝え合うかは見ものだ.
共演者は,直接対決する弁護士役の松本幸四郎をはじめとして,弁護士役の鈴木砂羽,裁判長の岸辺一徳,特捜部の香川輝之など非常に豪華.なお,放火魔役がなんと古田新太ということで,これがたんなるチョイ役でないことがわかる(謎)し,韓国の検察事務官役キム・ヒョンウがなかなかいい味を出していたと思う.あのバーのマスター役の田中要次も健在だ.
HERO自体,非常に癖があるドラマだったと思うが,それが好きだった人はこの映画を見ても失望することはないだろう.できれば,この勢いでドラマを再び復活させて欲しいのだが….