某シンポジウム二日目

二日目は私の招待講演.比較的広範囲に説明する代わりに,易しい話にしたのだが,反応悪し…もう少し対象を絞り込んで,詳しく説明した方がよかったと反省.
なお,U田氏からは,サーチエンジンの研究を大学でやる意味があるのか?という鋭い質問が…Y社の上層部の人間と会った時に,もうその種の研究を大学でやっても無駄と言われたらしい.Y社は,G社やM社ほどPh.Dに重きを置いていないという話を聞いたことがあるので,そういう発言もさもありなんという感じ.これは,ある分野に,エンジニアリングだけでなく科学も必要なのか?という問題を言い換えることができるかもしれない.これに対しては,私はYESと答える.つまり,エンジニアリングというのは,対象を分析して問題点を解決するために有効なのだが,それゆえに近視眼的な視点に偏る傾向がある.実際に,サーチエンジン黎明期には,エンジニアは自然言語処理にばかり目が行き,リンク構造に着目したのは研究者であり,それゆえに「使えない」ものから「使える」ものに,まさにパラダイムシフトできたのだ.つまり,あるものを抜本的に改善できるとしたら,それは科学しかないと思っている.ただし,ある会社が科学を放棄したとしても,それは致命的なものにならない…というのは,他の会社が成功したら買収や模倣をすればいいからである(爆)
ただし,現在のサーチエンジン関連の研究は非常に敷居が高く,大容量のデータ(Webページ,ブログ,リンク,利用履歴,辞書など)を持ち,それを扱えるインフラを持っていないとできない.そういう点では,大学単独では不可能であり,何らかの形で企業と連携しないと難しいというのは確かである.