井のなか(錦糸町)

今月のブルータスに掲載されたので,今月は諦めて,ほとぼりが覚めてから行こうかなあ…と思っていたら,S井氏が誘ってくれた.でも工藤氏には「珍しい組み合わせですね!」と言われてしまう(爆…S井氏はまき子さんと飲み歩いていたからである)それにしても,今月はちょっと出張・飲み会多過ぎなので,仕事が進んでいない(大爆)年末はアメリカから帰省してくる姉の子供のS子の相手をしなければいけないが,その後は論文強化月間に入る予定.
料理は,9品盛(白菜の漬け物,エリンギのマリネ,豆腐のオリーブオイル漬,あん肝ポン酢,牛肉のジェノベーゼバルサミコ掛け+バゲット,白子のペースト・キャビア載せ,タコのバジルマヨネーズ掛け,蕪の酢漬,オリーブ),鹿熊豚の脛の軟骨味噌漬+野菜入りハンバーグ,刺身盛(ヒラメ,〆鯖,タコ,メジマグロ),鹿熊豚の豆乳鍋,生ガキと白魚のオリーブオイル・ジュレソース,ウズラと豚レバーのロースト.えっ,確か年末進行で過密スケジュール(ただし飲み会(笑))のS井氏は「今回はヘルシーに」とか注文していた気がしたのだが…(笑)
酒は以下の通り.今回素晴らしかったのは,初駒の純米大吟醸.昨今は酒中の酢酸イソアミルやカプロン酸エチルを増やす技術が進歩しすぎて,吟醸香が不快なくらいきつく,またそのために酒質が犠牲にされていて冷やさないととても飲めないものが非常に多い.だから,私は十年ほど前から最近までは大吟醸酒やお酒の会は敬遠していた.しかし,これは違う.常温保存のものをワイングラスで出されたが,シルキーな舌触り(これは冷酒で飲む場合にはありえない!),微かに香るよい匂い,ナッツを思わせるような余韻など,これぞまさに日本酒,ワインに勝るとも劣らないという感じだ.なお,工藤氏は最近凱陣がメジャーになりすぎたので,初駒を世に出そうと考えているようである.

  • 扶桑鶴 純米吟醸 にごり酒 佐香錦(55%) 協会9号 平成18酒造年度 製造年月19年8月(島根・株式会社桑原酒場)燗
  • 初駒 純米大吟醸 無濾過生原酒 袋吊り 雄町(50%) 協会7号 製造年月19年5月(青森・佐藤酒造株式会社)燗
  • 小笹屋竹鶴 番外編 純米原酒 広島産山田錦(60%) 2001(平成13)酒造年度 製造年月19年10月(広島・竹鶴酒造株式会社)常温
  • 初駒 純米 無濾過生原酒 華吹雪(60%) 製造年月19年10月(青森・佐藤酒造株式会社)燗
  • 秋鹿 生もと 純米生原酒 山田錦(70%) 七号酵母 上槽2007年2月 製造年月19年10月(大阪・秋鹿酒造有限会社)燗
  • 十旭日 純米吟醸原酒 改良雄町60 瓶火入 改良雄町(60%) 17BY 製造年月19年10月(島根・旭日酒造有限会社)常温・燗
  • 鷹勇 山廃純米 鷹匠 平成17年度仕込 山田錦(70%) 協会6号 14BY 製造年月18年7月(鳥取・大谷酒造株式会社)燗

帰る時に工藤氏はわざわざ駅まで見送りに来てくれた.昨年私はこの店を知ったのだが,この店に通うようになって,自分が日本酒を飲み始めてから,いつの間にか自分の好みと世間一般の日本酒(吟醸酒)との方向性が違ってしまったことに気がつき,さらに松の屋や大塚屋に出会って,本当に自分が求める日本酒を求めることができるようになった.また,工藤氏の常に料理とのマリアージュを考える姿勢は,本当に日本酒を存分に楽しませてくれる.今年はこれで最後だが,来年も毎月通うことだろう.