某開発者の日

某開発者の日に参加するためにみなとみらいに.基調講演で頻繁にデモを失敗するとは,さすがG社!(爆)例えばA社はアピール効果を高めるためにとにかく入念な練習を繰り返すのでそんなことはありえないらしいが,そういう細かいところにこだわらない自由なところが良いなあ.彼らの主張する三つの"C"(Client, Connectivity, Cloud)は着実に整備されてきていると思うが,"Be social"という最後のメッセージに関連したSocial的なアプローチはまだ完全な方向性が見えていないように思う.我々がやるとすれば,その辺がカギか?それにしても,昔「こんな研究,10年前から駄目に決まっている!」と言っていた当時研究所長・現某大学教授は,天下のG社でそのような研究開発が懸命に進められていることを聞いたら何て言うだろうか?(苦笑)
なかなか知っている顔に会わないが,久しぶりにS総研のN田氏に会って「最近どう?」と聞くと,「この分野はG社にはとても勝てませんよ.あと10歳若ければG社に行きたい.」というような話をされる.日本の研究者・開発者の共通の認識は,基盤技術において日本は大幅な遅れを取っているということだが,そこでどう行動するかは,大きく次の三種類に分けられる…つまり,負けてしまう人,なんとか対抗しようとしてがんばる人,そしてG社に行く人(爆)だ.なお企業や国の研究機関でも,いろいろ予算はついているものの,その多くは昔の国家プロジェクトを縮小した感じの「箱物研究」に行く比重が高く,本当の志高い研究者の一部はスポイルされているのではという懸念がある.そのためか,がんばる人達はベンチャー会社に行ったり起業したりすることも多いが,ぜひ成功して欲しいと思う.
さて,当日面白かったのはDalvik VMアーキテクチャに関する講演.結局,互換性がないファイルフォーマットやレジスタベースの独自VMを採用した理由は,徹底的なフットプリント削減にあったようだ.この講演では,それについて詳細に説明してくれた.たとえば,Javaのスタックベースのバイトコードは,レジスタベースの中間コードよりもかなり長くなるなど.しかし,深読みすると,実行速度に対する言及がほとんどなく,質問されてもごまかしていたように思う.つまり,現状ではまだまだ実行速度が遅いのではないか?なお他でおこなわれた実機デモにおいても,単なる操作ミスではなく,GCによる停止やイベントの取り落としではないか?と疑ってしまうような状況も見受けられた.彼らが現在提示している動作条件はJ2MEと比べても比較的緩和なものだが,このプロジェクトはG社に買収される前から行われていることを考えると,ハードウェアの進歩と低価格化に合わせて動作条件の緩和が行われ,実は徹底的なフットプリント削減の効果は相対的に小さくなってしまった可能性が高い.今日はJavaバイトコードなら組み込み用プロセッサでハードウェアサポートも得られることを考えると,実はもう最良の選択でないのかもしれない.しかし,Androidの価値を決めるのはシステム全体の質なので,最終的に目的の実行速度が得られさえすれば,それでもかまわないだろうけど.