GDDフォン雑感

GDDフォンを何日か触っているので,現時点の感想をつらつら書いてみることにする(思いついたら,少しづつ追加する予定).
一言で言えば,これはGoogleサービス専用マシンで,Googleのサービスだけなら非常に快適.現時点では感度の問題があって電話機としては使い物にならないが,GDDフォンはiPhoneと同様「進化する携帯電話」であり,1〜2回のソフトウェアアップデートで解消されると思う.
以下メモ.

  • 電波の補足が悪い.手元の二つのNokia端末,P905iでアンテナがフルに立つ私の部屋で,0〜3本の間を頻繁に変化する.これはiPhone 3G発売当初とまったく同じ症状で,W-CDMAはソフトウェアのチューニングが非常に重要なこともあり,たぶんHT-03A発売までに解決されるのではないかと思う(そのために発売が伸びる可能性もあるが).実はこれもGDDフォンへのドコモの料金プランの対応が決まらない原因かもしれない(今のままでは,かなり苦情が出るはず).
  • 料金プランは,ここに「端末にプリセットされているmopera U(Biz・ホーダイ)のAPNは現在、本端末からは接続できません。最新情報が確認され次第、本サイトにてお知らせいたします。」とあるので,Bizホーダイ対応してくれるのではないかと期待している.たいていの個人開発者は自分が使うアプリを書きたいわけだから,対応してくれなかったら開発することはないだろう.
  • ユーザ入力への反応は少し鈍く,スクロールなどは途中でひっかかるような症状があるが,致命的ではなく,将来的に改善されるだろう.
  • しかし,Googleのサービスに関係したアプリ(ブラウザ,Gmail,地図など)は非常にレスポンスが良い.重点的にチューニングされている模様.逆に,遅いのはメール(POP・IMAPメール用).
  • タッチパネルの反応は良い.ただマルチタッチ対応でなく,iPhoneのようなピンチ操作をサポートしていないので,拡大・縮小は画面に拡大ボタン・縮小ボタンを表示させて,それを使うことになり,大きさも自由に調整できない.ハードウェアQWERTYキーボードなら,拡大・縮小を割り当てて随時使えるはずだが….もしタッチパネルに制約があるとしても,ハードキーやジェスチャーなどでカバーできないか?
  • タッチパネル対応がまもないこともあり,タッチパネルですべての操作をおこなうことができず,ハードキーと指を往復させることが必要である.
  • トラックボールもなかなか良い(ランプ兼用).ただ,若干ざらざら感があることと,動きが軽すぎるという難点はあり.後発機でよりよくチューニングされることを期待したい.
  • Mac OS Xはバージョン10.5でGoogleとの住所録データの同期を実現した…はずだが,これは日本では使い物にならないので注意.この理由は,Mac OS XGoogleの住所録のローカライズ方針の違いが関係していて,前者はデータを細かく分割保存し,ロケールによってレイアウトを切り替えているが,Googleカレンダーは,名前・住所などのデータをすでにレイアウトを決定した状態でグループ化して保存する.このために,Googleとのデータのやりとりには,データのレイアウトと解析が必要になるが,これが現時点では英語固定なのである.つまり,この機能を使って同期させると,姓と名の順序,住所の順序が逆転する.Mac OS X側はレイアウト用のロケールデータを持っているが,Google側は持っていないので,10.6で改善されたとしてもMac OS Xメインで運用するのが無難だろう.また,せっかくの写真データも同期対象にならない.だから,住所録を無理に同期せずに,別々に持つことにした.
  • 日本語入力はiWnn IMEかな漢字変換エンジンは非常によくチューニングされているが,入力方法が携帯と同じなので,文字入力に必要な操作数が増えていて入力しにくい.しかも,英字入力の際にAの後にBを入力したい場合に,Aを一旦確定させてからBを入力したつもりでも,確定したはずのAがCになる(つまり,1回入力+2回入力ではなく,3回入力として扱われる)という状態管理のバグがある.変換エンジンと辞書は優秀なので,Simejiのようにフリック入力をサポートして欲しいが,特許の問題があるのだろうか?
  • Androidキーボード(QWERTYキーボード)では,履歴の検索が遅く,キー入力に対するレスポンスが極端に悪いことがある.これもiPhoneの発売当初と同じ.また,これでiPhoneのように日本語を入力することはできない.
  • たとえば,アドレス,ユーザ名,パスワードなど,英字しか入力しないことが判明している局面では,Androidキーボードを出して欲しいが,それができていないようである.しかも,iWnn IMEAndroidの切り替えは,入力フィールドをタップしてメニューを出し,さらに「入力方法」を選択して別のメニューを表示させてから切り替えるというように手順が多すぎる.
  • カメラはオートフォーカスで,画面,トラックボールどちらを使っても撮影できる.画質もよさそうに見える.なお,オートフォーカスの動作に時間が掛かるので,単にシャッターを押すのではなく,一旦押した状態でフォーカスを合わせてから,タイミングを見計らって離すのがよいだろう.
  • 無線LANで繋がらないという問題が,Android-SDK-Japanで盛んに議論されている.たぶん,ソフトウェアの問題だろうが,バッファローなどの国産製品での動作検証が不十分だったのだと思う.
  • 携帯電話用OSとしてWindows Mobileがイマイチな理由は,OSとハードを完全に分離して開発しているために,入出力デバイスの変化・進化に追従できなくなっていることにある気がする.新しい入出力デバイスが登場しても採用が遅れるし,しかもいろいろなデバイスやそれに適した入力方法に同時に対応しなければいけないので,ターゲットが定まらない.PC用のWindowsの場合には,基本的に変わらない(タブレット版を出したりもしているが)から,この問題はなかった.この点で,両方を開発していて,自ら入出力デバイスのバリエーションを統制できるiPhoneNokiaPalmは有利だ.AndroidWindows Mobileと同じ悩みを抱えるわけだが,オープンソースで各メーカーが自社の入出力デバイスに合わせて作ることもできるわけだから,オープンソースプロジェクトとして,これをどのようにうまくマネージメントするかが鍵かもしれない.