レスラー(渋谷・シネマライズ)

ミッキー・ローク主演のプロレス映画.とは言っても,数十年前に栄光を極めたベテランレスラーの話で,レスラーの行き方をじっくり描いている.なお,各レスラーには,ハルク・ホーガンなどの実在の有名レスラーが投影されているようだ.
主人公のランディ役のミッキー・ロークの体を張った演技(相手役は本職のレスラーなのだ!)は特筆もの.共演のなじみのストリッパー役のマリサ・トメイや,娘役のイヴァン・レイチェル・ウッドも良い.
エンディングに流れる思い入れたっぷりの歌は,ブルース・スプリングスティーンの「ザ・レスラー」.
なお,この映画は制作資金を集めるのが相当難航したらしく,特にミッキー・ロークの主演は相当問題になったそうである.結局目的の制作資金を確保できなかったが,なんとユーロが値上がりし,ドルが値下がりしたことで出資額(約60万ドル)を確保して撮影することができたらしい.ブルース・スプリングスティーンの曲も,ミッキー・ロークが手紙を書いて頼み込んだ結果,ノーギャラで応じてくれたらしい.アメリカで4館で上映開始したのに,そのクオリティの高さで広まり,多くの賞を受賞する結果になったのも素晴らしい.
プロレス好きでなくても充分楽しめる映画だが,プロレスファンは特に必見で,たぶん故三沢光晴の人生を重ね合わせて見ることになるだろう.