事業仕分けにおけるスパコン問題

今回次世代スーパーコンピュータの予算を削減したことに関して,いろいろクレームが出ているようだ.しかし,私がそれ以前に報道記事を読んで不思議に思ったのは,一体文科省側はどのような説明をしたのか?ということだ.
記事から推測するに,「世界一早い計算機を作る」,「ハードで世界一になればソフトにも波及する」と説明したように思えるのだが,それだとしたらあまり理由になっていないように思う.
基本的に,この手の有用性を主張するのなら,それがどのような恩恵を与えるかを説明しなければいけないはずだ.たとえば,現在の地球シミュレータのユーザの利用の混雑状況とか,長時間掛かる計算が従来の数分の一で済む,またはより細かい粒度でシミュレーションができるなど,メリットを数値の形で明確に示せるはずだし,それなら素人でも有用性を容易に理解できるはずだ.東工大の「TSUBAME」の時には,大学の予算でシステムを構築したことから,そういうポイントをしっかり押さえていたのだが….
今回の次世代スーパーコンピュータの開発計画では,ベクトル型を担当するはずだった日立とNECが撤退したという問題があったので,その辺もプロジェクト評価のマイナス要因だったのではないだろうか.今後廃れて行くベクトル型スパコンはともかく,富士通の担当しているスカラ型スパコンは,あってもいいと思うのだが….