「研究」と「開発」

私が忙しくててんやわんや状態の時に,日本企業に一年間しかいなかったり,これから行く人達で某所で面白い議論が行われていたようだ.しかし,一部の発言が消されていたりした(爆)ので,何人かの発言をここに匿名でこっそり取り上げてコメントすることにする.

(表には書かなかったけど)自分は「自分の仕事は研究開発です」と言う人はマユツバだと思っている。XXさんの言うように研究と開発はかなり乖離があるのが一般的(IBMGoogleみたく近いところもある)なので、自分の軸足がどちらかによっていずれか片方を名乗るはず。

会社で「研究開発」というラベルを付けられているから,そう名乗るのだろう.私も会社の人事資料に「研究開発」と書かれているし,他にも「研究開発技術本部」のような組織名とか.でも,実際には現在の日本企業で「研究」だけという人たちはほとんどいないと理解すればいいはず.

「研究開発です」と言う人は、そう言いたい理由はあるのだろうけど、片方に絞ったほうがいいと思う。まあ、そういうぬるいところはきわめて日本的だし、ぬるいにはぬるいなりのいいところもあるのだが

ただし,現状は別として,先端サービス系では実質的に「研究開発」でなければいけないと思う.実際新しいものを創りだそうとする時には,技術的基礎力や既存の問題点の解決をしなければいけないわけで,かなりの創造力や基礎力が必要とされるので,その基盤を研究に求める必要があるし,それがうまく行えている会社だけが成功しているのではないか?
もちろん,その場合には開発者として素晴らしくても,研究者としては一流になれないだろう.でも,それでいいんじゃないかな.
「研究だけしかできない」,「開発だけしかできない」場合は,結局難しいことから逃げているわけで,判断が難しい局面になると「勘が悪い人」,「全体的に俯瞰できない人」になりやすい気がする.だから,この方法では,材料系や要素技術系の分野では強くなれても,システム系の分野ではなかなか成功できなくなってしまう.
でも,研究だけ,開発だけと割り切った方が,成果の質や有用性は下がっても,その人にとっては楽なのは確か.

一般論として研究と開発は全く別のスキルが要求される。多くの日本企業だと研究開発といっておきながら、真の「開発」とはかけはなれた実験コード。

ここに彼の本音が出ている(笑)けど,彼がいた部署は日本企業の研究所としては特殊な部署だったので一般化は危険.あそこは,研究者に指示されたコードを書く人たちまで常時雇っているわけだけど,そこまで徹底的にやっているのは日本企業の研究所では珍しい.
一般に,日本の研究所は「研究」と言っても開発がメインなので,実験用コードだけしか書かないでいい(恵まれた)部署は少ないし,それ以前に最近は企業はあまり論文を投稿してこないんじゃない? まあ,開発でも外部に開発を外注して,実質開発管理だけしていないという指摘なのかもしれないが.

逆に言えば二つの距離感が小さいところほど強くなれる

これは完全に同意.
自由にそう発言できる会社は素晴らしい(技術者が主導権を取れない会社では,それと程遠い人たちがマネージャーになるわけで,自己否定することになるような,そういう発言は歓迎されない)し,そういうところが強い.