ゴールデンスランバー(T・ジョイ大泉)

どの映画にしようと迷ったが,伊坂幸太郎原作,中村義洋監督の「ゴールデンスランバー」に.選んだ理由は,堺雅人竹内結子吉岡秀隆香川照之らが出ていたからである.
緻密に練られたストーリーと展開は,聴衆をぐいぐい惹き付け,最後まで楽しませてくれる.ただ,権力の横暴に「人を信じること」で立ち向かうので,ストーリーは多少ご都合主義だが,まあこれは無視できるかな.なお,背景に関して説明不足な箇所も多いが,原作ではどうなのだろう?単なる時間の制限?
香川照之はエリートっぽい役で,彼の演技力を生かしきれていなかったが,堺雅人竹内結子吉岡秀隆の三人の演技は素晴らしい.他の役者達も素晴らしく,貫地谷しほり,悪女役が板に着いて来た相武紗季大森南朋柄本明伊東四朗ベンガルなどが出演し,単なる病院の患者役ですら波岡一喜なのだから,贅沢きわまりない.特筆すべきは,殺人鬼「キルオ」を演じた濱田岳.殺人鬼でありながら,主人公の青柳雅春に協力するという難しい役を見事に演じていた.今シーズンのTVドラマ「コード・ブルー」第3話でも,彼女と友人と出かけた時に事故が起こり,彼女と友人を庇ってスキーに貫かれ,他の二人を励ましているうちに,実は彼女が自分の友人とつきあっていて別れるつもりだったことがわかって苦悩するが,最後まで彼女のことを考えて死んで行くという,非常に難しい役を好演していた.顔が良く,所属会社の力で主演することが多いが,演技力はイマイチという若手男優が多い中で,彼の演技力は飛び抜けていて,今後が楽しみだ.
ちょっとマニアックかもしれないが,なかなか楽しく見れる映画である.