翻訳依頼

某氏のブログで,某出版社のある書籍で「翻訳者がトンズラこいた」(原文のまま)という話は読んでいたが,私にもその話が回ってきた.書籍自体は,さまざまな言語設計者のインタビューを集めたものらしく,この手の本は少なくとも開発者に人気があるので,狙いは悪くない.
ただ,一般的に企業の場合には,執筆には上司の許可を得る必要があるので,仕事と直接関係がない仕事は(特にシビアな最近は)却下されてしまう.だから,普通は「…さんに,ぜひ…という仕事をして頂きたい」という会社の顔も立てる形や内容で依頼が来るので,すぐ上司に相談できるが,単に翻訳してくれという依頼だと,小遣い稼ぎに見えるので,そのままは見せられない.
次に,同時に別の人にもCc:されていたのだが,その人と専門分野が重なって競合するのだ.即答できない内容なので,もう一人がやりたがるのでは?と思って少し静観したら,その通りで,結局私は関係なくなった.
しかし,こういう場合の定石を知っているあの人(私と仕事をしたこともあるので,弊社のカルチャーも熟知している)が,対処が難しい形式で依頼したのは驚きだったが,急なトラブルで焦っていたのだろう.でも,だれも丸ごと翻訳を引き受けられないために細切れに割り当てるのなら,その危機を逆手に取って,残りの部分を豊富なコネを使って適切な専門家や直接関係者に割り振ったら,怪我の巧妙で逆に箔がつきそう.
なお,以前も選んだ翻訳者の能力に問題があるので監訳できないか?という相談に来たが,まずい状況になってから火消しをお願いしにくるより,早い段階で相談してくれた方が対処しやすいけど,最近の出版不況のあおりをうけて翻訳者の質が下がってトラブルが増えているのかも.
追記:私も仕事柄よくやるのだが,仕事の依頼には,ある特定の人でないといけないという仕方と,あるレベル以上なら誰でも良いという仕方の二種類ある.前者のような依頼を受ける人は,たいてい他からの仕事で多忙で,なかなか引き受けてくれないことが多いが,説得さえできればレベルの高い仕事を確実にやってくれるので,前者のような依頼しかしない編集者もいる.これからそういう機会が多くなる人は,ノウハウとして覚えておくとよいかも.