天空の蜂(ジストシネマ和歌山)

原作(未読)が書かれたのは1995年の作品だが,原発事故やオスプレイが話題になっている現代でも通用する非常に骨太な作品である.ストーリーも緻密に構成されており,原作を読まずに見たので,意外な話がどんどん明らかになって非常に面白い.ただ,それらが政治的に微妙な時期にこういう作品を公開するのも,思い切ったと思う.
ただし,最後に東日本大震災に関連したストーリーが付け足されていたが,原作部分に比べると稚拙に感じられてしまったので,この部分はなかった方がよかったかもしれない.
非常に贅沢な配役だが,特に凄いのは赤嶺役の本木雅弘,雑賀役の綾野剛,高坂刑事役の手塚とおる,室伏刑事役の柄本明,あと関根刑事役の落合モトキだった.本木雅弘はこの作品で受賞してもおかしくない.落合モトキも凄い若手だ.
映像は「ビッグB」がCGだと思うが,比較的違和感なく作られていることと,ストーリーで楽しませる映画なので,違和感は少ないだろう.
重厚感のあるストーリーを味わいたいのなら,この作品を見ても裏切られないだろう.