Evernoteベーシックの仕様変更

先日いきなりEvernoteから「Evernote ベーシックの仕様変更について」というメールが来て,無料のEvernoteベーシックは利用可能な端末を最大2台に制限することがわかった.
Evernoteは非常によく使われている代表的なWebサービスであり,メインのアプリ以外にも多くの派生アプリが生まれたし,広告などに頼らない良心的な運営だった.惜しむらくは,有料プランに相応しい新しい有用な機能をうまく生み出せなくて規模縮小とサービス改悪を始めて,ついにユーザ数が激減することを承知で無料プランから複数台のデータ共有という重要な特徴を取り除いたのである.
すでにiCloudDropboxは有料プランに移行しているので,Evernoteも有料プランに移行してもいいのだが,よく考えてみると,有料プランに移行しても今回制限された台数以外のメリットがないし,そもそも必ずしも使いやすいと思っていなかったことを自覚した.
そこで,有料プランに切り替える前に,もっと良い方法がないか試してみることにした.

  1. Evernoteは使わない機能がてんこ盛りなので,動作が遅くて,UIも複雑で使いにくい.そこで軽量アプリがいろいろ開発されている(私も,Surface RT用に購入).ただ,ちょっと探した限りでは,機能が制限されすぎているようだ.
  2. MSのOneNoteを試してみた.ただ,私はカテゴリ分類できるシンプルな共有メモが欲しいのに対して,Evernoteよりさらに高機能のようだった.
  3. ググっている時に,OS Xの「メモ」がEl Capitanで大幅に機能拡張された上に,Evernoteデータのインポート機能が追加されたことを発見した.これを試してみたところ,手放せなくなってしまったのだ!

Evernoteからデータをインポートする手順は以下の通り.

  1. 取り込みたいEvernoteのノートを選択して(ノートブック単位がよいのではないかと思う),「ファイル」メニューの「ノートをエクスポート」項目を選択して,「Evernote XMLフォーマット(.enex)」を指定してデータを書き出す.
  2. 「メモ」の「ファイル」メニューの「メモを読み込む...」項目を選択して,書き出したデータを読み込む.
  3. 「読み込まれたメモ」フォルダにメモが入っているので,フォルダ名を変更して移動するか,入っているメモを移動する.

「メモ」が良いところは以下の通り.

  • 動作がとても軽く,起動が早い.
  • 確かにEvernoteに比べると機能は限られているが,階層フォルダは作れるし,画像の貼り付けも,ハイパーリンクも,手書きもできる.私にとっては,必要十分.
  • 余計な機能がない分,画面が広く使える.
  • 階層フォルダと選択したフォルダ内のメモの概要とメモの内容を一気に表示できるのでデータ一覧性が良く,さらに別のフォルダに移動したりすることも簡単.Evernoteでは,選択したノートブックの中しか見れないので,一旦フォルダに入れると入れっぱなしで,整理するようなことはほとんどやらなかった.

「メモ」の悪いところは以下の通り.

  • 実質的にマルチプラットフォームではない.利用可能なOS Xのバージョンも限られるし,せっかくiCloudでWeb UIが提供されているのに,WindowsChrome OSでは重くて動かないようだ.
  • iOSの「メモ」の完成度は,OS X版に比べると劣る.画像が白黒でしか貼り付けられなかったり,フォルダの移動ができなかったり,クリップしたWebページが正しく表示できなかったり,物理キーボードがあっても箇条書きのアウトラインモードのインデントをtabキーで制御できない.
  • メモのタイトルのフォントを大きくしたい場合は,自分で選択しなければいけないので,少し面倒.
  • メモの文字を拡大してプロジェクタに投影したいことがあるが,テキストを選択しなければ,OS Xアプリの文字の拡大・縮小のショートカットCommand-+ or -が使えない.Evernoteでは最近可能になった.

まだまだ問題があるが,やはりOS Xで使った時の「Evernoteより明らかに使い易い」という特徴は捨てがたいし,すでにEvernoteで管理していたデータをインポートして再構成してしまったので,このまま使い続けるつもりである.EvernoteはWebページのクリップに特化させる.他の人たちはどうするんだろう?