This is BOSSA NOVA(Q-AXシネマ)

初日ということで,カルロス・リラが来日し,その演奏が二曲ほどあり(サイレントギターを使っていたのにびっくりした),ブリジット・バルドーがボサノバのレコーディングをするためにブラジルに来た時のエピソードや,最初に来日した時に「あなたは美しい」という言葉だけを覚えて女性を口説いたエピソードとか,短い時間だったが非常に面白い話を聞くことができた.そして,最後の"This is BOSSA NOVA"と彼が叫んだ後に,この映画が上映された.
これは,ボサノバのドキュメンタリー映画.ボサノバがどのような音楽的,社会的背景で生まれたのか,そのようなグループから生まれてきたのかが,細かく語られている.とにかく,この映画がいいのは,それが「本物」であることである.映画はボサノバの中心人物のカルロス・リラとホベルト・メネスカルの二人が進行していき,中心人物やその息子・娘との演奏や,昔の貴重な映像(たとえば,アントニオ・カルロス・ジョビンフランク・シナトラとか!)を沢山見ることができるし,とにかく最初から最後までボサノバが流れており,完全なボサノバ漬けなのだっ.
カルロス・リラは「ボサノバは中産階級の音楽である」と言っていたが,ボサノバは彼らが住む狭いアパートで夜中に大声を出すことができなかったので,自然と小声で囁くように歌うようになったとのことで,マイクを利用することでそれが現実のものになったわけである.実際,ジョアン・ジルベルトは,バチーダ(ボサノバの奏法)を生み出すために,一日中パジャマを着てバスルームにこもっていたらしい.つまり,このような文化的背景と美しい国土によって生み出されたのが,ボサノバなのである.
ボサノバ好きなら,ぜひ一度見に行くことをお薦めする.なお,Q-AXシネマは,ホテル街の真中というカップルには絶好!(…だが,一人で行きにくい)場所にあるが,小さいながら非常に見やすい映画館であった.