Android

Y崎氏とメールを交わしながら,その本題とはまったく関係がないながらも,今回発表された携帯電話プラットフォームAndroidについても同時に議論.Androidは2005年8月にGoogleが買収した会社の名前で,モバイル向けのソフトウェアプラットフォームを作っていたようである.我々が最終的に辿り着いた結論は,gPhone雑感:「モバイル・プラットフォーム戦国時代」の幕開けだという記事で言及されているように,Linux上にWebKitのようなWebブラウザとARMコンパイラを搭載した高性能なVMを実装し,さらにその上にミドルウェアやアプリケーションを構築していくのではないかというもの.こうすれば,JavaScriptJavaを含めた複数言語に対応できたり,他の組み込みLinuxに容易に移植できるだけでなく,必ずしもLinuxに縛られる必要はなくなり他のOSにも移植する可能性も出てくる.今までSun MicrosystemsからJava言語関係の人間をどんどん引き抜いていたのを見て,一体何をするつもりなんだろうと思っていたが,もしそうならすごく納得できる.さらに,今携帯電話で盛んに競争がおこなわれているウィジェット環境に関しても,これが決め手になるかもしれない.
さて,これが実現すると面白いのが,日本の鎖国政策に基づいた携帯ビジネスが,この黒船で大きく変わる可能性があることだ.
一つは,Google Mapsはバックエンドで非同期にサーバと通信するために常時接続されている必要があり,さらにYouTubeのようなサービスは通信量が大きくなるために,通信料の定額化と低価格化が進まざるを得ないことだ.
もう一つは,サービスのオープン化で,今までの携帯会社が互換性や相互運用性のない状態を意図的に作ることで高額・特定のサービスを利用せざるをえなかった体制が崩れて,一般のインターネット上のサービスの利用が前提になり,サービスの選択肢が広がり,さらにより低価格ないしは無料で使えるようになることだ.
さらに,今までの日本の携帯キャリアは各端末の足並みを揃えて組み込みソフトウェアという形でハードと結びついた形で実現していたのだが,ソフトウェア開発のオープン化により,自由に拡張・後付けできるようになることで,この護送船団方式が破綻すること.たとえば,今Nokiaでは,GPSに組み込まれていない端末でも,ソフトウェアをインストールしてBluetoothで接続すれば使えるようになるように,シンプルな端末を提供し,ソフトウェアで拡張性を確保している.こうすれば,無駄に高機能な端末を無理矢理買わされることもなくなり,端末寿命も長くなるはずだ.
まあ,こんなアホなことを書いていると,Googleの中の人に笑われちゃうかもしれないが,少なくとも技術者にとって面白く,ユーザにとってもより便利になるソフトウェア環境が出てくることは期待したいと思っている…が,今後単なる回線ビジネスに後退せざるをえない携帯キャリアは大変だろうなあ.