iPhoneは売れるか?

最近N園氏とiPhoneを買おう!と話しているのだが,iPhoneはどのくらい売れるんだろうか?ちなみに,こんな記事もあるし,ドコモの「他にタッチパネルを採用した機種がある」という発言もあるが,この画像を見れば,彼らが何もわかっていないのがはっきりわかるはず…つまり,彼らは「何かがある・ない」という単純なレベルで語っているだけで,「質」を一切見ていないのである.また,日本の携帯は基本的に組み込まれているソフトで勝負するが,海外の携帯はソフトをインストールしたり,Bluetoothで他の機器を接続できるので,それらも考慮されていない.なお,ここで比較されている某社の製品は「目のつけどころが(しょせんは)奈良」という感じで,昔からハードは抜群に良いのにソフトがあか抜けなくてどんくさくて使いにくい.これは,日本が結局はハード優先でソフトをないがしろにしてきたことを示すのであり,PCのようにハードは作るがソフトは丸ごと海外依存という形態ならともかく,ハード・ソフトともに作る携帯電話の世界では海外とレベルの差が著しく開いている.そのレベルの差が,iPhoneの登場で実際に使ってもらうことで日本人にも明らかに自覚されることになるであろう(実は,Nokiaなどの海外の携帯を使っていてもわかるのだが,販売量が少なすぎるのと,日本のキャリアにより「去勢」(「売り」の機能をどんどん削って,意図的に日本製携帯より劣った製品に見せること)されているので,ほとんど認識されていないと思う(なお,ドコモは携帯のソフトを海外製にリプレースする計画をいろいろ持っているが,これはやはり日本の携帯ソフト技術の敗北をすでに痛感しているからであろう.しかし,これを公言することは絶対なく,さりげなく移行が行われるはず.).
今非常に興味があるのが,これで携帯のシェアがどれくらい変わるかである.現在の携帯電話のシェアは,ドコモ 50%,au 28%,ソフトバンクモバイル 18%.もしドコモからソフトバンクモバイルに5%動けば,45%,28%,23%であり,ソフトバンクモバイルは無視できない存在になる.しかも,auはこの後周波数帯と通信方式の完全変更と,それに伴う圧倒的に少ない基地局数の二桁増加(国の方針に逆らって800MHz帯を使い続けていたために,少ない基地局でカバーすることができた)という苦行が待ち受けていて,その際にユーザが激減するのは容易に想像できるので,ソフトバンクモバイルがNo.2になるのも夢ではない.現在,すべての施策が後手後手に回っているドコモがそれを続けるのなら,シェアのさらなる低下は避けられないだろう.
しかし,iPhoneは,必ずしも一般的な電話ではない.たとえば,フルブラウザMobileMe,iTuneなどでパソコンと多くのデータを共有でき,GoogleマップYouTubeなどのパソコンと同じサービスが利用できるので,パソコンユーザにとっては非常に便利である.しかし,日本のほとんど携帯しか利用しない若年世代では,この恩恵を受けられない.たとえば,次のようなユーザが向いているのではないだろうか?

  1. パソコンを非常に活用している人.こういう人達はパワーユーザで,デジカメなども別に持っているはずなので,別に画素数が少なくても気にしないだろう.ただ,Nokiaなどのスマートフォンユーザも同じはずなので,たぶん特にMacユーザ,iPodユーザじゃないかな.
  2. 日本の携帯を活用できていない人.たとえば,ワンセグついていても見ていない,おサイフケータイも使わないというユーザは結構多いが,これに対してiPhoneの標準機能は少ないながらも,ほとんどが活用されている点が本質的に違う
  3. ファッションを追求する人(笑)「カッコイイ」,「新しい」で動く人も結構多い気がする.

たぶん,1はそれほど多くないはずなので,2と3の層がどれくらい動くかで,売れるかどうかが決まるんじゃないかな.
なお,未だにドコモがiPhoneを売るかどうかはっきりしない.ドコモは,基地局の数でダントツで,しかも公衆無線LANが駅などの主要ポイントで広くカバーされているという点で,すでに回線が飽和しつつあり(ソフトバンクモバイル基地局の数はあまり増やさず,単なる電波の中継装置を多数設置することでエリアを確保しているので,回線容量は大きくないのだ),公衆無線LANがほとんどマクドナルドだけというソフトバンクモバイルに比べると利便性が高いので,少々高価格でもかまわない.でも,アップルの条件に納得できないのなら,すっぱり諦めてNokiaあたりと対抗策を考えた方がよいと思うのだが.最近,すべての施策が後手に回って,しかもじり貧というのは問題だよなあ….