(続)「イキガミ」と「生活維持省」

昨日に引き続き,両者がどこまで似ていたのか気になったので,「イキガミ」一巻を買って読み直したら,問題点がはっきりしてきた.結局,単にアイデアや設定が似ているという問題ではなく,「イキガミ」のエピソード1の前半部と「生活維持省」のストーリー展開が酷似しているのが問題なのではないだろうか.
設定などの細かい違いを無視して簡単に手続き的に書きくだしてみると,「生活維持省」は以下の通り.

  • 課長からカードを受け取る→車で出発(同僚が運転)→規則の必要性に対する議論→主人公がどういう仕事かわかっている老人が目を伏せながら聞く→車の中でカードの内容に目を通す→対象者(娘)の家を尋ねると母親が出てくる→母親倒れる→いつもの対応(倒れた母親に薬)→母親が反論→母親を説得→母親は納得→仕事を終える(娘に光線銃)→対象者の家を去る

これにたいして「イキガミ」のエピソード1の前半部は以下の通り.

  • 規則の必要性に対する議論→課長からカードを受け取る→車で出発(タクシー)→車の中で資料に目を通す→対象者(息子)の家を尋ねると母親が出てくる→主人公がどういう仕事かわかっている母親が不安げな表情で出迎える→いつもの対応(いつものやりとりから始まる)→母親が反論→母親を説得→母親は納得→母親倒れる→仕事を終える(母親にイキガミを渡す)→対象者の家を去る

若干順序が変わっているものの,この部分に限れば「生活維持省」(ラストを除く)がほぼそのまま入っているように感じるし,それが星マリナが本当に言いたかったことではないか.
イキガミ」を擁護する人達は,「アイデアが似ているだけでは盗作にならない」,「設定やストーリーはかなり違う」などと主張していて,それはまったく正しい.他の部分に関しては,充分オリジナリティもある.ただ,彼らは「設定はかなり変えていても,エピソード1前半部のストーリー展開が単なる偶然ではありえないくらい同じ」ということには言及していないようだ.
蛇足だが,オフィシャルサイトの年表では意図的に書いてないのだろうが,「生活維持省」アスキーアート版の公開日は2003/06/11のようだ.