いけちゃんとぼく(角川シネマ新宿)

凄い.
大岡俊彦監督は「Newクレラップ」のおかっぱの女の子が出てくるCMなどを撮っていて,どうも本格的な映画はこれが初めてらしいが,彼の書いた脚本は原作の散文詩的なエピソードを一連の話に書き換えたもので,出来は特筆するほどではないが,原作の雰囲気は壊さず,他の西原作品のエピソード(たとえば,彼女がよく書くダメな女の子や大人の話とか)をうまく交えている.PTAのお母様方や教育評論家が見たら,PG-12やR-15指定を要求するかも(爆)
素晴らしいのは,主人公といけちゃんとの絡みの部分.西原理恵子の原作の世界を壊さず,それを見事に表現している.いけちゃんのCG表現と蒼井優の声は特筆もの.今まで西原理恵子の世界は実写には向かないと思っていて,「ぼくんち」は原作は大好きでも,映画は結局見に行かなかった.しかし,ここまで仕上げるとは,西原作品へのリスペクト度合いが並外れている.ただ,映画の最初のシーンだけはない方がよかったと思う.また,あの予告編では,この映画の良さはよくわからないだろう.そうそう,西原理恵子本人も登場しているので,見逃すな!
さらにエンディングの渡辺美里の歌の歌詞,メロディ,歌唱力も完璧.
なお,プログラムを買う時に「いけちゃん」の人形を見たら,やはり単なる子供の落書きだった(爆・「いけちゃん」は西原理恵子の息子がランドセルの裏側に書いたイマジナリー・フレンドである)あれを見事なキャラクターに仕上げたCGチームは本当に凄い.
次の映画の「女の子ものがたり」も良い出来だといいなあ….