某ワークショップ二日目

午前中はSNSのセッションで,so-netの多くのSNSのデータを三人の研究者が異なる視点で解析しており,なかなか興味深い.懇親会でデータをどのように提供してもらったのかをI氏に聞くと,学会に参加している時にある人からコンタクトがあったらしい.やはり地道な学会活動で研究者として認知してもらうことがチャンスを生むために重要なのだろう.
午後は三件の招待講演.一件目の国際テロのネットワークでは,テロリストのネットワークの使い方が面白かった.彼らは電子メールで連絡を取るのだが,当然NSAに盗聴されるので一切メールを送信しない.どうするかというと,複数のメールアカウントをテロリスト間で共有し,メッセージをドラフトとして保存しておくことで情報を共有するのだという.目から鱗である.しかし,現在のアルカイダのテロネットワークはアメリカを攻撃するものでありながら,インフラは完全にアメリカのものを使っているのも興味深い.
二件目のニューロロボティクスの話では,「要素不安定は機能創出に拮抗せず,むしろ適応性を付加する」という話が興味深い.つまり部品が故障するものだということを前提にしておけば,適応的なシステムになるということで,これはGoogleの「コンピュータは必ず壊れるもの」を前提としたクラウドコンピューティングに繋がるものである.その後の質疑応答で,現在のインターネットには情報爆発があっても,効率的に情報集約できる仕組みがなく,それが生まれれば全体としての知能が創出されるかもしれないという議論もあり.
三件目は言語の進化に対する話で,言語的類推能力の獲得が進化に繋がったようである.なお,その後のパネルで,「書かれていることの解釈は多重に可能である」という発言が興味深い,これは,つまり「コーランにすべて書かれている」(こじつけようと思えば,結構こじつけられる(爆))ということである.