魚真(吉祥寺)

「魚食べたい!」ということで,ここに.

遊穂」という酒が目に入ったので,これは飲んだことがないと純米吟醸を飲んでみる…と,これがうまい.まず,酸がぴしっと背骨のようにしっかり効いていて,その回りにしっかりした旨味が取り巻いている.無濾過生原酒らしくかなり濃厚なのだが,障るところがないのだ.次に,純米をお燗で頼んでみた.どちらかと言えば,こちらの方がすっきりしているが,米の旨味がしっかり感じられるよい酒だ.これは,ぜひもう少し熟成させてみたい.

…とか一人で思っていたら,実はちょうどこの蔵の横道俊昭杜氏が来店していて,注文の様子を見ていてぜひ話をしたいと言われてしまって,会うことになった.

横道杜氏は,元は大阪でサラリーマンをしていたそうだが,心機一転杜氏を志して有名蔵を回って修行していたらしく,直前には大門酒造の杜氏をしていたとのこと.御祖酒造は以前は「清酒ほまれ」という普通酒の蔵だった(そのために蔵の設備はかなり近代化されちゃっているそうだ)が,新しい蔵元になって高品質なお酒を少量だけ生産する方針に切り替えて,「遊穂」になって初の出荷だそうだ.現在は300石に減らしてしまったそうだが,増やしても700石までということらしい.

この蔵元が面白く,実は某有名おもちゃ会社に勤めている女性で,普段は東京在住とのことで,最近相続したとのこと.うーん,こういう本質を掴んだ思いっきりの良さは,なかなか男性では難しいかもしれない.

作りとしては,とにかく酸でもなんでもどんどん出して,その中でうまくバランスを取っていくという話だった.食中酒を目指していて,チーズにも合うとか言っているのが面白い.

今年出荷したのは,下記の2種類に加えて,麹米・掛米共に山田錦の1種類があるらしい.また,熟成したものも飲みたいと言ったら,すでに一部を熟成中らしい.また,もうすぐ火入れした酒も出荷する予定とのこと.東京で扱っているのは,経堂の朝日屋(横道杜氏に教えて頂いた(笑))と三鷹の宮田酒店とのこと.

結構有望だと思うので,興味を持った人はぜひ純米吟醸を一度味わって頂きたい.

で,食べたのは,石鯛と寒ブリの刺身,しらすかき揚げ,金目鯛のかぶと煮.