井のなか(錦糸町)

以前からものすごいあこがれていて行きたかったのだけれども,Dancyuに掲載されてしまったために予約が取りにくくなっていたので,先月から予約していたのだ.

最初I社のS井氏を待ちながら一杯頼むと,竹鶴のにごり酒のお燗が出てきたが,燗の具合が(私と違って(泣笑))絶妙である.なお,工藤氏はS井氏を覚えていたのだが,その理由はお酒を沢山飲んでいたかららしい.

酒に関しては,工藤氏の選択と燗の付け具合は素晴らしい(アルバイトはまだ発展途上だが).彼の話では,今日本酒の醸造技術が進んできていて誰でも燗しやすくなっているためにお燗の技術だけでは他の店との差別化ができないので,食べ物とのマリアージュにも力を入れているらしい.でも,このレベルの燗酒を出す店も,そんなにないと思うんだけど.やはり,若い実績のある店主だけあって,お酒に対する意識がひと味違う.

奥播磨のXXは,サーチエンジンで検索してみたら,灘の大手蔵が50年前に使っていて,東京農大が保存していた多酸型の酵母を使って一込みだけしたものらしく,この店でもその瓶でおしまい.工藤氏によるとお燗には向かない(若い?)らしいので,常温で頂くがなかなかのお酒である.謎な酒は教えてもらえなかったのだが,最近工藤氏はブレンドに凝っていると聞いたので,もしかして自分でブレンドした酒か?おこぜは,夏子の酒尾瀬あきら氏が地酒関係の4コマ漫画を書く時に使っている「尾古瀬あきら」というペンネームから付けられたらしく,尾瀬氏の手が実際に加わっているものだけ「おこぜ」になるらしい.自作の竹鶴のシャーベットも味見させて頂いたのだが,甘い物好きの女性が大喜びしそうな素晴らしい味だった.あと,竹鶴のおいしい飲み方というのを勉強させてもらった.

付き出しは大山地鶏の(スモーク?)レバー,芝エビのロールパン乗せ,牛肉のたたきで,他には柔らか豚角煮,ゴルゴンゾーラチーズのタルト,カマンベールチーズのオーブン焼き,生豚レバーのカルパッチョ,5種類のチーズのピザ,豚レバーのマンゴー・キャビアのせ,三浦の冷やしトマト,ズケと〆鯖の盛り合わせ,林檎のゴルゴンゾーラソースがけなど.今回は工藤氏には「チーズばかりですね」と言われたくらいチーズに集中していたので,今後は他のものも食べていきたい.

とにかく,まっとうな純米酒の最高の状態の燗酒を,他では食べられないような素晴らしいつまみと一緒に飲めて非常に幸せだった.しかも,価格がリーズナブルときては,今後は頻繁に通うしかないだろう!(笑)

  • 竹鶴 純米にごり酒 八反錦・一般米 精米歩合65% 協会601号(広島・竹鶴酒造株式会社)
  • 奥播磨 純米 XX 夢錦 精米歩合55% 17BY(兵庫・下村酒造店)
  • 竹鶴 純米 無濾過生原酒(広島・竹鶴酒造株式会社)
  • 扶桑鶴 純米 高津川 五百万石・祭晴 7号酵母(島根・株式会社桑原酒場)
  • 謎の酒
  • 睡龍 純米生もと おこぜ 山田錦アキツホ 精米歩合65% 16BY(奈良・株式会社久保本家酒造)
  • 春鶯囀(しゅんのうてん) 純米酣酣酒(山梨・株式会社萬屋醸造店)
  • 竹鶴のシャーベット(純米にごり酒を割水してはちみつを加えたシャーベット)(広島・竹鶴酒造株式会社)
  • 伯楽星 純米吟醸 蔵の華 精米歩合55%(宮城・株式会社新澤酒造店)
  • 扶桑鶴 純米吟醸 山田錦 精米歩合50% 9号酵母(島根・株式会社桑原酒場)
  • 小笹屋竹鶴 無濾過生原酒(広島・竹鶴酒造株式会社)

蛇足だが,この本に出てくる「工藤」は工藤氏がモデルらしい(笑).

のんdeぽ庵(1) (KC KISS)

のんdeぽ庵(1) (KC KISS)