S総研のM井氏がA社に

安藤日記によると,あのM井氏がA社に転職するらしい.

http://opengl.jp/blogger/2006/09/pitecan.html

確かにS総研にいるより非常に自然(笑)なぜT林氏と一緒にG社に行かなかったのだろうと非常に不思議に思っていたら,こちらが本命だったのか(笑)実は私も昔不毛な出向をさせられた時に,A社本社に誘われて転職する寸前までいったことがあったりするが(苦笑)

昨晩もT工大のM田助教授と話していたが,大学にいるとやれることにどうしても限りがあることがある.もちろん分野によるが,要素技術ならまだしも,複合化したシステムが研究対象になると,実際に実運用システムを持ち,ユーザを抱えている企業にはかなわないというジレンマがある.そういう分野で,ちゃんと未来に繋がる研究開発をするためには,その企業に転職するのが一番よい方法で,大学のままでは産学協同などなんらかの手を打たないと難しそうである.

なお,日本企業の一番の問題は,スター研究者がいても,それをうまく生かせないこと.本人にとっては自分を生かしてくれるところに転職するのが自然でハッピーなのだが,ライバルと対抗すべき人材がどんどん流出していくだけの会社の運命は,とても良い方向に行くことはない.結局,研究も開発も人間次第だから.

追記:数十年前を考えてみると,スター研究者や技術者は特別な待遇を得ていたように思う.実際に,私が就職する前に退職されたある有名な先生は,在職時にかなり巨額の特許料を得ていたらしいし,特別研究室やフェロー(現在は研究業績ではなく,研究所長などの退職時の箔付けに使われるように形骸化した)などもあった.また,富士通のある技術者は会社に出社することなく,飲み屋でミーティングしていたとも聞く.つまり,日本企業は,ここ数十年間で技術系に対する特別扱いを排除してきたのではないかと思う.それが,工学部の学生の減少と低レベル化,優秀な人間の海外企業への転職を招いたのではないだろうか.