iPhone

風邪で調子が悪かったこともあり,ジョブスの基調講演を見るべし!というS藤I朗教授の言葉に従って見てみた.今回はますます長時間になっているが,必見である.GSM+EDGEなので,しばらくは日本で使えないだろうが,そのうち単なるWIFIだけのVideo iPodもそのうち出さざるをえないのではないかと思う.一番気になっているのがWebブラウザの使い勝手.今までは小さな画面ではPCのWebブラウザと異なるアプローチをしなければいけないことがわかっていながら,たとえばWindows Mobileや携帯電話のブラウザはほとんど違いがなく,最近のNokiaの(これまたSafariベースの)Webブラウザが面白い試みをしているくらいだったのだ.

重要なのは,iPhoneがソフト指向の携帯電話ということかもしれない.たとえば,今まで日本の携帯電話で「デザイン」と言えば,au design projectのような方向性,つまりハード指向のものがほとんどであった.そのために,使いにくさは取り残されてしまっていた.NECPanasonicのように,携帯のソフトウェアプラットフォームを共通化する試みがあっても,それはUIの利便性を画期的に向上するためのものではなく,かえって使いにくくなったという苦情をいろいろなところで聞くことになった.Nokiaが現行機種はさておき,将来的にその方向を目指しているのはわかっていたが,iPhoneは一足先にそのコンセプトを実現してしまった.iPhoneが実際に使えるかどうかはさておき,今までの使いにくさを解決できる可能性を目の前に示してくれた意義は大きく,これで実機導入に慎重的だったNokiaはもちろん,他の携帯各社もソフトウェアに革新を持ち込む試みに大きく投資せざるをえなくなるのではないかと推測している.

また,iPhoneでは同時に携帯電話をキャリアのネットワークから開放することを提案しているともいえる.もちろんNokiaの携帯でも,PCとの連携と通常のインターネット上のリソースの利用がおこなわれていたわけだが,それがより明解な形で打ち出されることになった.なにしろ,携帯でもすでにGoogleの便利なサービスが無料でそのまま使えることを示されたのだ.これと対極的なのが,徹底的に自社ネットワーク内に囲い込もうとしている日本の携帯キャリアか.

さて,日本の携帯キャリアがどう動くか非常に興味深い.自ら革新へと向かい,自社の収益構造まで変えて生まれ変わるだろうか?それともあくまで従来の仕組みにしがみついているうちに,世界の流れから取り残されて携帯後進国に落ちてしまうのだろうか?