七子と七生〜姉と弟になれる日〜(NHKハイビジョンドラマ)

amazon.co.jpの推薦DVDリストを見ていて,初めて(苦笑)これは!と思った作品…というのは「幸福の食卓」の瀬尾まいこの初のドラマ化(単行本「卵の緒」に収録されている「7's blood」が原作)で,主演が蒼井優,そして音楽がジブリの映画音楽を担当している久石譲だからだ.まったくノーチェックだったのだが,amazon.co.jpのレビューや,ネットの評判も結構良かったので,さっそく注文してみた.

七子と七生~姉と弟になれる日~ [DVD]

七子と七生~姉と弟になれる日~ [DVD]

これは,一言で言えば,七子と七生という異母姉弟の物語で,いかにも瀬尾まいこらしい独自の視点から描かれている.

脚本・演出は(悪い意味で?)NHK的.「幸福の食卓」とこの作品を見た限りでは,瀬尾まいこの作品は,強いメッセージや意志を伝えるのではなく,運命を肯定的に受け入れながら,人間同士のふれあいや心の葛藤を絶妙のタッチで描くのが特徴だと思っているのだが,若干その良さが殺されてしまっているかも….映像も(良い意味で?)NHK的.好き嫌いはあるかもしれないが,こういう視点で,こういうシチュエーションの映像を撮れるのは,やはりNHKのカメラマンだなあと思う.音楽は悪くはないが,「ハウルの動く城」などと比べると,制作期間などに制限があったからか,久石譲の良さが存分に発揮されているとは言い難い(これは仕方ないか).

ただ,蒼井優の演技は凄い…冒頭のナレーションの声色でまず少しびっくりするのだが,一人の高校生の少女がさまざまな試練を経て成長していく様子を見事に表現している.これを数年前の段階で演じていたとは….母親役の石田えりも,難しい役を見事に演じている.この作品が平成16年度の文化庁芸術祭のテレビ部門優秀賞を受賞したのは,原作の良さに加えて,この二人の演技が素晴らしかったからだと思う.

ただし,74分の作品で,単に5分の予告映像がついているだけなのに,価格は4,935円…こんな高い値段で売りさばくとは,やはりNHKの体質改善は必須だろうな.