美味くない…けどウマイ?もの

最近S井氏とT巻氏に,穴子料理を食べに行かない?と誘ったら,S井氏に即座に却下された.理由は,鮟鱇鍋とかに比べたらイマイチアピールしないのと,美味しい穴子丼は頻繁に食べているからとのこと.えっ,そういう濃厚な味のものを食べたいと言っているんじゃないんだけど…と思ったら,T巻氏が刺身のあのざらざら感とこりこり感が良いと言ってくれて,そうそう!そういうのが食べたいの!という感じだった.

で,こういうものは確かに「美味い」って言わないかもしれないことに気が付いた.たとえば,最近Haggy Farmで山梨産の山くらげが出てきて,この絶妙なコリコリ感が堪らない!と喜んでいたが,実はこれも「美味い」わけじゃない.でも食感,歯ごたえ,香り,雰囲気などを含めて全体的に評価すべきものがあって,少なくとも自分は幸せになる食べ物ってあるよね.ここではこれを「ウマイ」と呼んでみる.ただ,「美味い」ものはいかにもグルメだけど,「ウマイ」ものは貧乏くさかったり,知られてなかったりするかもしれない.大根の葉っぱがウマイというのと,同じ感覚か?

なお,魚柄仁之助原作の「おかわり飯蔵」では,料理屋の料理は,お金を取ることを考えて,誰が食べても美味しいように味を濃く作ってあり,家庭の料理は体のことを考えた毎日簡単に作って食べれる料理のように区別しているが,やはり現代では濃厚ではっきりした味が「美味い」だろう.でも,「美味い」は脂質や糖質が多いので,特に生活習慣病が心配な人(笑)は「ウマイ」ものも食べるとよいと思う.私も意識的にそういうものを食べるようにしている.

なお,最近の「美味い」は悪い意味で「美味すぎる」ことが多く,この「ウマイ」という感覚がわからなくなってしまう人が多いようだ.実際に私が「ウマイ」と思っている店が「家庭でも作れる味」(そういう優しい控え目な味がいいんだけど…)とか批判されたり,そういう店で「ちゃんと味をつけてますが,味が薄ければ使って下さい」と調味料を出されたりすることがある.たぶん,「美味すぎる」ものを食べ過ぎて,濃い味付けじゃないと満足できなくなっているかもしれないね.子供には,将来生活習慣病で苦しまないように,しっかり「ウマイ」感覚も教えておいた方がいいかもしれないね.

なお,「美味すぎる」のは日本の食生活が西洋化したからだろうが,モーニングのサラ・イネスの「誰も寝てはならぬ」に「ウマズイ」(「ハギス」とか…熟成系?)という表現が出てくる.ということは,西洋でも必ずしも「美味い」ものだけを食べているわけではないらしい(笑)