大塚屋(武蔵関)

自宅の秋鹿が空いたので,先日松の屋で飲んだ花垣の亀の尾を買おうと昼休みに急いで大塚屋に補充に行くと,ちょうど朝四国の酒蔵訪問から戻ってきたばかりの店主と会う.その某蔵は神亀との親交が深いらしく,今年の作りも楽しみだそうだ.その他,秋鹿の生もとがなぜやさしい味かとか,開運の十年古酒は凄い旨いがやはり開運の味とか,いろいろ話をする.

その後,奥さんも出てくるが,ようやく今回の勉強会で私の名前がわかったと言われる(笑).そこで週末の話を聞くと,日曜日の会は,主に酒販店を集めての勉強会で素人は私を含め3人だけだが,燗酒にあまり詳しくない人たちが多いので,逆に教えてあげて欲しいとか.松の屋の浴衣祭りに行けないのは残念だが,こちらもいろいろがんばって仕込んでいるそうなので,楽しみだ.

また,二人と日本酒の常温熟成についての話,ガーゼ蓋は使ってないとか,四号瓶は熟成が非常に遅いとか,熟成は早めたいときは横置きにするという荒業があるとか.四号瓶の中身を一升瓶に移すのはどうか?と聞くと,最初はそれは乱暴だと言われるが,デキャンタージュも兼ねているので悪くないかもと言われる.店主は,本当はデキャンタージュしてから出荷したいけど,さすがにそれはねえ…と言っていたが,それを当たり前にするのも面白いかもしれない.

さて,購入したのは,次の酒.この豊穣美田は農口尚彦杜氏が以前勤めていた菊姫の蔵人で弟子だった山下修司杜氏の在籍時代に作られた酒で,今は残念ながらこの蔵の酒はかなり軽い味になってしまったそうだ(実際,先日松の屋で呑んだ三井の寿はそんな感じだった).11BYだけあって,古酒の風格が充分出ており,カラメルのような風味と酸味,そしてキレの良さは素晴らしいと思う.常温でも燗でもイケル感じ.価格も約3,000円とリーズナブル.価格が高い方も入荷したそうだが,それではオリがそのまま入っているとか.どぶは,17BYを冷蔵保存していたらしいが,すでに麹の甘味が出すぎているが,酒としてはまだまだ未熟で固いという,まったく相反する性質が混在していて,しかも生老ねっぽい感じまで出ていて,すでに変態酒の風格を充分備えている(笑)ので,さすがにうかつに手を出さないほうがよいかと….さて,これを常温熟成させて,どのように変わるかが楽しみ.というわけで,花垣は次回に.

  • 豊穣美田 山廃純米 熟成 糸島産山田錦 11BY 製造年月19年6月(福岡・井上合名会社)
  • 生もとのどぶ 生原酒 山田錦アキツホ(65%) 仕込み16号 +12 17BY 製造年月19年7月(奈良・株式会社久保本家酒造)