アヒルと鴨のコインロッカー(恵比寿ガーデンシネマ)

この物語は,ボブ・ディランの「風に吹かれて」がきっかけになって始まり,同じ曲で終わる.最初はその内容がよく理解できず,単なる破天荒な話だと思わせるが,螺旋のように同じエピソードがより詳しく別の視点から語られなおすことによって,映画中にちりばめられた伏線を含めて,だんだん明瞭になってくるという面白い緻密な構成.
瑛太は複数の人間を表現するという難しい演技にチャレンジしていて,一つ以外は必ずしも100点満点の出来ではなかったが,よく健闘していたと思う.関めぐみは,「笑う大天使」や「ハチミツとクローバー」のように,人生を明るくポジティブに生きていく女性を好演している.彼女はこの映画のムードメーカーでもあり,もっと他の出演作も見てみたいという気にさせてくれる.浜田岳と松田龍平,大塚寧々は完全なはまり役.
カエラ氏にコメントで推薦されたので見に行ってきたが,さすがに何度も通いたくなる気になるほどではないものの,確かに良作だと思う.少し待てば新宿でも上映されるらしい.