クローズド・ノート(吉祥寺東映)

時間を隔てた不思議な三角関係を描いた映画.沢尻エリカが(たぶん素の本人とは正反対の(笑))恋するかわいい女性を見事に演じているし,竹内結子の先生役も暖かな感じがする.特に二人がナレーションをする場面が多いのだが,その深みがある声質とイントネーションが非常に作品に合っていて素晴らしかった.伊勢谷友介は画家&イラストレーター役で,まさにこの役はお手の物という感じ.他にサエコは,こういうキャピキャピした女性をやらせたらピカイチだし,篠井英介はとにかく大好き(←まあ個人的趣味だが,実際に彼の演技が期待を裏切ったことはない.TRICKのマイベスト1もミラクル三井の回である).
ストーリーは,とてもありえないくらい清純で暖か.その分インパクトには欠けるかもしれないが,まあこれはこれでよいと思う.女性の方が,恋愛における微妙な心の動きがもっとリアルに感じられるかもしれない.
パンフレットのインタビューで,「あと,撮影している時からライティングがひとつにしてもすごく綺麗だなと思っていて,そういう面を含め仕上がりを楽しみにしていたんですね.」と言っているように,撮影が見もの.竹内結子がバイクに乗るシーン,グラウンドを紙飛行機が飛ぶシーン,肖像画の出てくるシーンなど,まさに夢の中のような風景であり,さすが行定勲監督というところ.撮影は本当にすごい.万年筆屋でアルバイトとか,マンドリンオーケストラ所属とか,かなり趣味的な設定もイイ.
ヒットするかどうかはわからないけど,エリカ様ファンとか,プラトニックな恋愛の切ない心の動きを見たいとか,この映画の作り出す凄い映像世界を見たい人にはお薦めかも.
追記:ヤングジャンプのインタビューによると,沢尻エリカは今回は役作りをやめて,自分の意見は主張しないで,監督の意見を生かしていくというスタンスで演じたらしく,それが今回の作品で彼女と映画が調和している理由なんだろう(今までは微妙な違和感を感じたことがあった).女優として一皮剥けたように思う.