おと・な・り(新宿ピカデリー)
「時効警察」以来「こういう等身大の役を頂くことが少ない」(爆笑)という麻生久美子と,ジャニーズの中で私が俳優として高く評価している岡田准一が主演した,熊澤尚人監督の最新作.今までと比較しても,かなり良い出来.
隣人との生活音のやり取りだけで,二人の運命を結びつけて行く絶妙なストーリー(最後だけはちょっとご都合主義だけど,こういう映画はそれでいいと思う)と,もう絶賛するしかない素晴らしい美術の仕事.今回は16ミリの最新型のカメラを使ったらしく,そのざらつきがある画像で表現される世界は幻想的である.
二人の演技はもちろん,共演者もすばらしい.岡田義徳は,それほど出番が多くなくても,こいつを除いたらこの映画・ドラマはなりたたないという重要なスパイスのような俳優だが,この映画でもその存在を発揮.谷村美月は作品によって演技の揺らぎが激しい女優だと思うが(たとえば,「おろち」や「仕事人2009」はやっちゃった感あり),今回ははまり役.
なお,プログラムの出来が素晴らしい.アート的なものが好きな人は,ぜひ買ってみよう.