Acer Chromebook 11 CB3-111(Acer)

自宅用のパソコン(MacBook)のリニューアルを考えていたのだが,先日の新しいMacBookの報道を見ていて,家庭用というよりモバイル用に特化したことと高価格化から見送ることとして,以前から考えていたChromebookを購入してみた.Amazonで送料込みで28,980円だった.

基本的には,(たぶんMacBook Airをよく研究しているのか)安価なわりには,かなりしっかりしていると思う.基本的にChromeしか使えないが,体感速度は充分に高速だ.
簡単な感想は以下の通り.

  • 国内向けではなく並行輸入物を選んだ理由は,英語キーボードモデルが欲しかったから.ASUSは日本国内向けにC300MAの英語キーボードモデルを販売しているが,13.3インチと少し大きかったので断念.
  • 並行輸入物でも技適マークとPCリサイクルマークがついている.国内モデルの違いは,メモリが2GBから4GBに拡張されていることと,電源ケーブルが3ピンではなく2ピンなことだと思う.
  • Chromebookのモデルによっては,メモリ増設やSSD換装ができるモデルもあるらしい.たとえば,archlinuxのページを見るとわかるので,少し古くてもSSDが換装できるAcer C720を選ぶのも面白いかも.
  • 一つ気をつけた方がいいのは,このモデルの標準ディスプレイ出力がHDMIであることである.プレゼン用途に考えている人は注意すべし.
  • Googleアカウントを入力し,キーボードの検索キーとctrlキーの入れ替え,トラックパッドの逆スクロール化,Google日本語入力で句読点変更と(ctrlキーが使えるように)MS-IMEキーバインドの設定をした.さすがに,Emacsキーバインドは設定する方法は見つけていない.
  • 購入当初はChromeの設定の挙動がおかしかったが,「設定」の「Chrome OSについて」からアップデートして最新版にしたら解決.たぶん,購入したら即実行した方がよいと思う.
  • フル画面表示したウィンドウをタブやウィンドウをキーバインドで切り替える使い方だと11.6インチでちょうど良かった.もちろん,オーバラップ型マルチウィンドウとして使うには狭いだろう.
  • システム情報の取得や設定も,Chromeの「設定」やchrome:で始まるURLからできる.
  • シェル(crosh)の起動は,ctrl-alt-t.pingsshができるようだ.
  • よくアクセスするURLをアプリとしてランチャーに登録する簡単な方法がわからない.Chromeウェブストアからインストールすればできるのだけど,個人的なURLも登録したいのだが….
  • Androidのアプリが動くので,さっそくEvernoteを動かしてみたら,動作的には問題ないものの全画面表示ができなくて,結局Chromeで使うことにした.

まだ慣れていないところもあるが,かなり使い勝手がよいマシンで,アメリカで人気があるのも頷ける.何事にも細かいことを気にする日本人には向かないと思って大々的に販売しようとしないのかもしれないが,少なくともJISキーボードで正式に販売されているのだから,プライベートで自宅で使うマシンとして候補に挙げてもいいと思う.
ただし,すべての場面で活用できるとは限らない.最後にChromebookの抱えている問題点を整理してみた.

  1. サービス分断問題.例えば,今まではメールのアプリケーションから複数の異なるメールサービスを統一的にアクセスできたのだが,Chromebookでは各サービスのWeb画面に直接アクセスすることになるので,例えばGmailの異なるアカウントや異なるメールサービスごとに切り替えて使わなければいけない.ただし,これはフロントエンドのプログラムがあれば解決されるので,必ずしも深刻な問題ではない.
  2. ストレージ分断問題.Chromebookは本体のストレージは小さく,Google Driveを使う(2年間100GBの容量が加算される)ことが前提である.しかし,これは使用するサービスによって異なって,Office Online系はSkyDrive,アップル系はiCloud Driveを前提に作られている.しかし,これらのサービスはどれも後発で,一番最初に普及したDropboxを使っている人も多いわけだが,現時点ではGoogle系サービスがDropboxにアクセスしたり,Google Drive上のPowerPointファイルをPowerPoint Onlineでアクセスできない.パソコンでは各ストレージがローカルファイルシステム上に作られて自動的に同期するし,iOSではアプリが他社のストレージにAPI経由でアクセスできるのだが,各社のサービス自身を他社のストレージを使用するようにしたら,自社ストレージが使われなくなる可能性もあるし,ユーザもアカウントを知られることに抵抗があるだろうから,解決は難しいかもしれない.パソコン側で同じディレクトリを指定して同期させることも考えたが,初期のDropboxMicrosoft Officeのロックファイルの同期タイミングによってファイルにアクセスできなくなるなどの問題が生じたことを考えると,相性問題でデータを失いそうで怖くてできない.
  3. ユーザエージェント問題.Chromebookを使ってみてびっくりしたのが,Adobe Flash Playerがかなり快適に動くことで,動画サイトなどもほとんどストレスなく視聴できる.ただし,サービス側でChromeのユーザエージェントを見て,使用環境が異なるというエラーメッセージを出すことも多いのである.特に日本企業は互換性に関するクレームを気にするのか,この理由で使えないところが多い気がする(例,Yahoo! Japan).
  4. Microsoft Silverlight問題.MSの一番の問題は,非常に多くの開発プロジェクトがあるが,かなり多くのプロジェクトは失敗し,またある程度成功しても開発を中断するものも多い.Silverlightは後者の例らしく,すでに新しいOSやブラウザはサポートしない方針のようで,Chromebookでも使えない.それほど多くのサービスが該当するわけではないが,例えば,ドコモのdビデオが該当する.