ホワイトカラーエグゼンプション

首相のその知能を容易に推し量れる発言（苦笑）でさらに話題になっている制度だが，今の会社が一番恐れているのは最近活発になってきた残業代不払いによる訴訟や摘発である．

せっかく，給料カットのために裁量労働制や日本式成果主義を取り入れたのだが，残業があるためにさまざまな制約が残ってきた．たとえば，ホワイトカラーであっても，私の会社の開発部門のように自主開発しないために下請けとの打ち合わせが中心の社員は全体でスケジュールががっちり決まっていて，裁量なんてほぼ皆無．この場合には，裁量労働制が除外され，残業代が払われるはずだが，実際にはそれが適切におこなわれていないこともあるようだ．もちろん，こんなところを摘発されたら，とんでもない金額を払わねばならなくなるわけだ．予想していなかった残業代不払い問題のために，今は逆にできる限り残業するな，残業時間にはつけないけど自主的に残って自己研鑽するのももってのほかという動きになっている．つまり，首相の理想を実現したければ，今のままで残業不払いをどんどん摘発すれば，労働者の給料も上がり，家庭にいる時間も増えるわけだな（笑）

ただし，このために現在会社の著しいレベルダウンが発生しているのが，今抱えている予想しなかった問題だろう．このままでは日本企業の国際的競争力はどんどんなくなっていく．本来は管理職は残業代が支払われないので，有能な人間は管理職に上げてしまうのも手なのだが，実はそういう人間はごく少数でどうでもいい．それより，とにかく時間が拘束されてしまうような仕事をさせられている大量の人間を，昇進させずに賃金カット状態を保ったまま，今より長時間労働させることが目的といえよう．

ちなみに，私はすでに休日出勤も残業も関係ない管理職だし，働きすぎには別に抵抗感はないが，さすがに目安の年収が400万円というのは，あきらかにクリエイティブじゃない層を狙い撃ちしていると断言できる．年収が800万円以上なら反対しないけどな．