どろろ(吉祥寺プラザ)

手塚治虫の名作「どろろ」.体の48個所が欠けた超能力者・百鬼丸と盗賊の孤児・どろろが登場人物なために,原作は本当に素晴らしいにもかかわらず,さまざまな圧迫を受けてきた不運な作品.まさかこの作品が映画化されるとは….

どろろ柴崎コウということで,年齢設定がぜんぜん違うじゃん!と言いたくなったが,実際に見てみると演技は素晴らしく,あまり違和感はなかった.百鬼丸妻夫木聡もかなり原作を読み込んだのか,結構はまり役である.実写ということで,百鬼丸の体が作り物という設定がどう変わったのかは見もの.

ただし,肝心の脚本が…原作の心理的な葛藤や使命感というものがどこかに行ってしまっている.マイマイオンバの場面は結構見せるものの,他は単純なアクションシーンとなってしまっている.また,どろろの秘密も非常に軽く扱われてしまい,最後の「あと24体」というメッセージといい,脚本家は原作をまったく読み込んでいない感じ.少なくとも,原作に感動していた読者は見に行かないほうがいいかもしれない.