日本酒が嫌われる3つの理由

日本酒が嫌われる3つの理由

清酒を飲んだことはあるものの、「好きではない」「どちらとも言えない」と回答した人が、清酒を好まない理由を3つ挙げた。それは「悪酔いや二日酔いをするから」45.1%、「味」36.7%、「匂い」35.0%だった。年齢層が下がるにつれ、酒類全般が苦手とする割合は増えていて「若者の間では清酒に限らず酒類離れが進んでいることが推測できる」(同研究所)としている。

これって,どれもいわゆる普通酒の話で,悪酔いや二日酔いをするのは別途添加されたアルコール(安いウィスキーの場合も同様)と,アルコール添加することを前提にした醸造工程の手抜きによる製品の低品質化が原因だろう.このような酒と違い,完全に発酵させた純米酒は悪酔いや二日酔いを引き起こさない.しかし,特に若年層が行くような安い居酒屋に置いてあるのは,ほとんどこのような酒なので,若い人たちを中心に日本酒離れが起こっても仕方がない.一度まっとうな日本酒を飲んでもらえば考え方が変わるだろうけど,その機会がなく,高瀬先生が書いているようにT大の新入生向けガイドのお酒の項目から「日本酒」というもの自体が消えるという事態を引き起こしているわけだ.
これを防止するためには,彼らが嫌う原因となったその粗悪なお酒は,まっとうな日本酒と違うことを,誰にでもわかる形で示すしかないと思うのだが.その一つの方法は,純米酒とそれ以外で境界線を引くことだと思っている.もちろん,良い吟醸酒本醸造酒もあるし,形ばかりの純米酒もあるのだが,少なくともアルコール添加による悪酔いや二日酔いはかなり減少できる.さらに,実はワインと同様に米だけを使うことが世界的な境界線であり,日本酒メーカーも海外に輸出する時には純米酒に限定しているからだ.自ら認識している境界線を,国内に適用しても悪くはあるまい.
もう一つは,故上原浩先生が言うように,低アルコールまたは割水された日本酒をお燗して飲むことを普及させることだと思う.まっとうな純米酒の割水燗はより米の味わいが感じられて美味しいし,冷やのインパクトも軽減される.たとえば,沖縄でも,泡盛を水で割って飲む(注:水は常温で決して冷やさない)のだが,これが美味しく,いくらでも飲める.もちろん,アルコール度が高い酒が好きな人はそのまま飲めばいいのだが,この選択肢が普通に存在することで若年層が入門しやすくなるはずだ.
さて,私がどのように日本酒を好きになったかというと…よく覚えていない(爆)大学周辺の学生が行くような店ではほとんどまともな酒を飲めなくて,まったく同じ理由で大嫌いだったのは覚えている.たぶん,何らかの「まっとうな日本酒」を誰かに飲ませてもらったのでないかと思う.そのうち下宿や実家の近くの酒屋に行って一升瓶を買い込むようになった.ただ,この時点では貧乏だったので,細々と飲んでいた.本格的に日本酒に嵌ったのは就職してからで,ネットを通じて知り合った知人達(S井氏含む)と,大岡山の「正ちゃん」,渋谷の「さくら」,田町の「りきしゃまん」(?COTの連中ご愛用の居酒屋で,なぜか日本酒も多かった),新宿の「地酒屋」に通いはじめて,本格的に嵌ることになった.この中で,渋谷の「さくら」以外はすでに閉店してしまったとは,時代の流れを感じる.最近燗酒ばかりなのに,まだ唯一「さくら」にだけは通っているのは,昔から通っている例外だからである.