おくりびと(T・ジョイ大泉)

個人的に今年の映画のなかで「パコと魔法の絵本」と並んで注目していたのが,この「おくりびと」である.これは納棺師という普段あまり注目されない職業だが,各自の人生の記憶の中で決して忘れることができない身近な人の「死」に関わる人の物語である.主人公が入社する会社の社長が山崎努というだけで,絶対見に行かねば!と思っていたのだが,期待を上回る作品だった.
主人公の小林大悟本木雅弘で,この企画の発案者だそうである.妻の小林美香役の広末涼子,社長の佐々木生栄役の山崎努との見事な絡みで,人生の辛さと素晴らしさ,日本人特有の死生観などを描き出して行くだけでなく,その所作の美しさは本当に素晴らしい.さらに,吉行和子余貴美子笹野高史山田辰夫小林薫という素晴らしい役者達が話を盛り上げてくれるのだが,特に笹野高史は非常に良いところを持って行ったと思う(笑)またこれで賞を取るかもしれないなあ.
監督は滝田洋二郎.面白いのは脚本が小山薫堂…そう「11PM」,「カノッサの屈辱」,「料理の鉄人」,「ポンキッキーズ」などの番組にかかわり,「dancyu」に連載している人で,なんとこれが初めての映画の脚本だそうである.
音楽は久石譲で,チェロという人間の声に近い楽器(主人公が元チェロ奏者という設定)を最大限に活用して,映画の輪郭をはっきり描き出してくれている.なお,LITTLE JAMMER PRO.はこの映画のためにハンドメイドでチェリストの人形を作成したので,ぜひその動画を見ながら音楽の素晴らしさを味わって欲しい.
http://livehour.jp/okuribito/assets/images/okuribito.wmv
ちょっと本木雅弘がかっこ良すぎる気もするが,この映画はお勧め!