ジェネラル・ルージュの凱旋(T・ジョイ大泉)

チーム・バチスタの栄光」に続く田口・白鳥コンビシリーズの第二作.予告編で「ジェネラル・ルージュ」こと速水晃一を演じる堺雅人があまりに良かったので非常に期待していたのだが,期待をまったく裏切らなかった.最近はあのミステリアスな微笑に加えて,自らの意思を明確に示す見事な台詞回しが加わって,彼は今の時代をしょって立っている役者の一人になったと思う.ちなみに,あのいつもくわえているチュッパチョップスは,最後で非常に重要な役目を果たす(謎)
これとは対照的な演技ながら素晴らしいのが田口公子役の竹内結子.「一番長く現場にいるのに一番セリフが少ないかも(笑)」という言葉通り,ほとんどのシーンに出演しているがあまり喋らず,各シーンを台詞ではなく間や表情などで見事に盛り上げているのである.相棒の白鳥圭輔役の阿部寛は,今回は田口公子との絡みが減少して,どちらかというと話のポイントをしっかり抑えるポジションにいるようだ.
なにしろ,若い看護婦役ですら貫地谷しほりを使うのだから,この映画の役者の要求レベルは非常に高く,どの人も非常に良い.比較的知られていないと思われる林泰文もかなり印象的な演技をしていて,今後が期待できると思う.
ストーリーは今の医療の問題点をえぐりだしているだけでなく,二転三転して常に新鮮な驚きがあり,さらに笑いもちゃんと取っており,サービス過剰なぐらいの見事な原作&脚本.なお題名の「凱旋」には非常に深い多重の意味があると思う(「敗戦」は何か?ということも考えながら見ると面白い).
非常に楽しめる&考えさせられる作品だと思う.お薦め.