20世紀少年 <最終章> ぼくらの旗(T・ジョイ大泉)

20世紀少年」シリーズの最終作.前の2作品の比べると,かなりオリジナル作品の色合いが強い.浦沢直樹作品は,全体像がしっかり作られて,それを盛り上げるようにストーリーが着実に進んで行くものと,基本的に思い入れが強く,パッションで書いて行くものがあると思うが,この作品は後者で多少ストーリーのつじつまがあっていない気がするので,これでかなりまとまり感,終わり感は出て来たと思う.ただし,「何かを与えてくれる」感じはないかも.
配役はデラックスすぎて,意外なところで意外な人が出演してびっくりする.主演級はどれも素晴らしい演技だが,若手のカンナ役の平愛梨と小泉響子役の木南晴夏は,その対照的な存在感で将来が楽しみな女優だと思う.高橋幸宏が昔ケンジと春波夫とバンドを組んでいたビリー役で出演していて,ライブ演奏をさすがミュージシャン!と見ていたのだが,実は彼はドラマーでベーシストは初めてだったとか.「ケンヂ」の名前の由来になった遠藤賢司もある重要なシーンで関わっている.
音楽はTレックスの「20th Century Boy」が素晴らしいのはもちろん,「Bob Lennon」がアコースティック版,ライブ版ともになかなかよい感じで仕上がっている.
昭和中期のあの感じがたっぷり味わえる作品だと思う.