まるごと鳥取&まるごとべんてんむすめ2010 in 砂丘屋(荻窪)
この日は荻窪の砂丘屋で鳥取の食材と日本酒を使ったお酒の会.
最初は二日間だけの開催予定だったが,それに気が付く前にすぐ予約が埋まってしまい残念に思っていたところ,大塚屋の京子さんから,さらに三日目の昼と夜が追加されることを教えてもらった.他にも誰か来ないかTwitterでつぶやいてみたら,松の屋るみちゃん,Gちゃん,こけちゃんの3人も行きたいと言ってきたのだが,すでに昼・夜ともに残席が少なく,仕方なく昼はこけちゃんと私,夜はるみちゃんとGちゃんに別れて予約することとなった.
最初の二日は薬膳料理研究家の鳥海(とりのうみ)明子氏とミカちゃんが参加していたらしい.最終日の今日は彼女達が来れないかわりに,店内に入ると隣の席が「作」のりえぞさんで,カウンターの中で「大塚屋」の京子さんがお手伝い!さらに,「遅れてすみませ〜ん!♡」とかわいく入って来た(←ここ重要!(笑))のは,な,なんと辨天娘の太田陽子さん!見よ!カウンターの中のこの華やかさを!!途中,砂丘屋おかみも子供を連れて顔を出しにきてくれて,最初の二日間に負けない豪華メンバーだった.
なお,席に座ると,次のような菊池氏と鳥海氏,そして鳥取の名産物のイラスト入りの素敵なメニューが迎えてくれた.これは鳥海氏が作成したそうで,そのマルチタレントっぷり(「とっとり酒蔵散歩」の編集者でもあるのだっ!)は凄い.
さて,この日のメニューは以下の通り.食前スープが食欲をかき立ててくれたと思ったら,いきなり豪華な前菜!さらに,最後に渡されるキャラメルまで,これでもかっ!というほど全力投球されたコース料理だった.
- 食前スープ:玄米スープ(やままおさん家の天日干し玄米)
- 前菜:松花堂仕立て(イカのこうじ付け,実家の干ししいたけ含め煮,長いものだし巻き卵,おかかこんにゃく,とうふちくわ,鳥取砂丘塩らっきょう,菊花かぶ,カレー手まりコロッケ,はたはた一夜干し油焼き,miniへしこ粥,白バイ貝の塩ゆでへしこオイル,しまめいかのオイル煮けんちん巻き,もさえびのお造り・本わさび)
- 中皿:白ねぎづくしの豚肉ロール
- 焼物:ずわいがにと長いもの一口グラタン(白バラ牛乳ソース)・自家製パン添え
- 酒肴:しまめイカ・日置桜生姜干し,板わかめ
- 食事:ののこめし(鳥海氏からのいただきもの),辨天娘奈良漬,かぶの柚子塩もみ,漁師汁
- デザート:(ミカちゃんの)柿ようかんとクリームチーズのデザート
- 梨キャラメル「一粒で300メートル?」寒い夜の帰り道のおともに!
特に素晴らしいと思ったのは,鳥海氏がレシピを担当した白ねぎづくしの豚肉ロールとずわいがにと長いもの一口グラタンで,薬膳料理なので体に良いのだろうが,それだけでなくとにかく繊細で華麗で美味しい!彼女の薬膳料理教室がすぐ定員になるのもうなづける話である.
さて,この日のお酒は「まるごとべんてんむすめ」(笑)
- 辨天娘 青ラベル 15番娘 玉栄・山田錦・等外米(70%) 601号 日本酒度+15 H20BY 製造年月22年8月(鳥取・有限会社太田酒造場)
- 辨天娘 純米 鳥姫 5番娘 自家栽培鳥姫(70%) 日本酒度+11 H21BY 製造年月22年11月(鳥取・有限会社太田酒造場)
- 辨天娘 純米 契約栽培強力 6番娘 契約栽培強力(70%) 日本酒度+11 H21BY 製造年月22年9月(鳥取・有限会社太田酒造場)
- 辨天娘 純米酒 6番娘 契約栽培玉栄(70%) 日本酒度+6 H20BY 製造年月22年5月(鳥取・有限会社太田酒造場)
- 辨天娘 純米酒 4番娘 五百万石(65%) 日本酒度+9 H19BY 製造年月20年11月(鳥取・有限会社太田酒造場)
- 辨天娘 純米中垂れ 契約栽培玉栄95%・鳥姫5%(70%) 日本酒度+10 H21BY 製造年月22年7月(鳥取・有限会社太田酒造場)
- 辨天娘 純米吟醸酒 3番娘 玉栄(55%) 日本酒度+2 H19BY 製造年月21年7月(鳥取・有限会社太田酒造場)
- 辨天娘 純米大吟醸酒 8番娘 自家栽培山田錦(45%) 日本酒度+3 H18BY 製造年月21年11月(鳥取・有限会社太田酒造場)
最初は京子さんが,途中から陽子さんがお燗してくれて,「京子さんの暴力的なお燗,陽子さんのやさし〜いお燗」という冗談(?)を飛ばしていたのだが,二人のお燗は実際にかなり違う.誰でもすぐわかるのは,陽子さんの場合は徳利が熱くて持てないことだっ!(爆)実際に二人に同じお酒をお燗してもらったのだが,京子さんは,味が一番はっきりわかる温度帯なのに対して,陽子さんはそれよりさらに高い温度で,味が突き抜けてクリアになる温度帯なのである(もちろん,酒質に応じて温度は変えているそうだ).さらに例を出すなら,松の屋のるみちゃんは,京子さんより少し低めの温度で,優しいまろやかなお燗をする傾向があるように思う.
大吟さえも「この年の大吟は丈夫ですからっ♡」と75℃でお燗して,素手!でその徳利を持ってきて笑顔で「どうぞ♡」とお酌してくれる陽子さんは本当に純米燗酒界のアイドルであろう.「気が優しくて,おしとやか.そのうえ美人で力持ち.奥ゆかしすぎるのが玉に瑕」な陽子さんをみんなで応援しよう!!
今回二人にお燗してもらって,ようやく「鳥姫」という酒米の可能性が見えてきたような気がする.なお基本的に五百万石系でありながら,五百万石とは味がかなり違う理由の一つとして,大粒であるために同じ造り方ではうまくいかないことがある気もするので,そのうちノウハウが溜まってくれば,より安定した味になるのかもしれない.
なお,りえぞさんとこけちゃんと互いに頼んだお酒をお酌し合いしながら一通り呑んだ後,陽子さんに「陽子さんのお薦めの飲み方でお願いします」と頼んで持ってきてくれたのは,「陽子スペシャル♡」である(笑)これは純米玉栄をベースにしたブレンドのようだが,ノーマルと比べると味にふくらみがある.さらに頼んだら,純米吟醸酒ベースの「陽子スペシャル2♡」が出てきた.辨天娘を楽しむには,高温の燗付けと割水燗がポイントだと思っていたのだが,さらにブレンドも忘れてはいけないようだ.辨天娘はかなり個性的な酒質なので,このような楽しみ方を同時に広める必要もあるのかもしれない.
記憶に間違いがなければ,砂丘屋初のお酒の会でないかなという気がするのだが,菊池氏,鳥海氏,ミカちゃん,京子さん,陽子さんと多くの人達によって支えられた素晴らしい会だった.夜に行ったるみちゃん・Gちゃん組は終電間際まで盛り上がったそうだ(あまりにギリギリまで盛り上がったために,るみちゃんは終電に間に合うように荻窪駅まで急いだ時に携帯電話を落としたらしい(苦笑)).次回がさらに楽しみである.