大塚屋(武蔵関)

休日出勤の途中で,大塚屋に寄る.本当は奥さんお薦めの日置桜 強力生もと純米を買うつもりだったが,そのうち店主と奥さんが出てきて,前回美味しかった炭屋彌兵衛の話で盛り上がる.昨年度の造りの前から寝込んでいた原田巧杜氏が今年の4月に亡くなり,蔵元・蔵人の辻麻衣子氏が造りを引き継いでいるらしい.なお彼女のブログもある.辻氏も一年目の造りで岡山県清酒品評会の吟醸&純米部門で金賞を受賞したくらいだから前途有望な新人杜氏なのだが,やはり原田杜氏の方が格段にうまいらしく,彼が作った火入れは全然違うといわれる.純米と純米吟醸があったが,店主が純米・奥さんが純米吟醸と意見が真っ二つに分かれる.純米吟醸は若干熟成しきれていない渋みがあり,それがまた楽しいらしいが,まあこの時期だったら純米かなとのこと.
さらに,雄町も,最近は混雑が進みすぎてきれいな味になってしまった「なんちゃって雄町」が多くなってしまった…という話をしていたら,そのうち「隠しているというわけじゃないんですけど,これは本当の赤磐雄町ですよ」と,御前酒を出してくるが,しっかり熟成されているらしく透明の瓶の中が薄く黄色に色づいている.そこで,「この三本のうち,どれを勧めますか?」と聞くと,炭屋彌兵衛は速醸もと,日置桜は生もと,御前酒は山廃だし…でも炭屋彌兵衛と御前酒にすると雄町が重なるし…とみんなで悩み,とりあえず今回は(笑)以下の二本にすることにした.
なお,どこの蔵も杜氏が高齢になり,ある蔵もついに今年で杜氏が引退するかもしれないとの話を聞く.今のうちに味わって記憶に残しておかねばならない.しかし,やはり若い世代に期待したいと思う…そうしないと,日本酒の未来はないのだから.
なお,味を見てみたら,常温では炭屋彌兵衛よりも御前酒の方がしっかり骨太な味で,さらに山廃の風味が感じられる.しかし,燗してみると,御前酒は一転軽やかな感じになるのが面白い.これからが楽しみである.

  • 純米造り 炭屋彌兵衛 雄町米(65%) 製造年月2007年1月(岡山・株式会社辻本店)
  • 御前酒 山廃純米酒「昔造り」 備前赤磐産雄町米仕込み 赤磐産雄町米(65%) 製造年月2006年12月(岡山・株式会社辻本店)