志ノ蔵(阿佐ヶ谷)
書類を仕上げたら,もう21時に.酒が呑みたい気分だったので,「まき子の酒」を見て気になっていた志ノ蔵に行ってみる.ここは日本酒バーと思っていたのだが,22:00まではコース料理で,それ以降がバータイムになり,一品料理になるらしい.というわけで,22:00直前という微妙な時間帯に行ってしまったのだが,お腹が空いているので,「今宵の志ノ蔵コース」(3,800円)をお願いした.このメインに名古屋コーチンをさらに追加することもできるらしい.なお,前日までに2人以上で予約すれば,鍋コース(この日はひきずり鍋とどて鍋)などを選べるらしい.
ここの料理は,名古屋コーチンと無農薬野菜が売りらしい.この日は,とうもろこしの冷製ポタージュ,胡瓜の酢漬けとキンカンと卵管の煮込み,名古屋コーチンの純米酢の煮込み,そしてメインが季節の野菜の味噌炒めだったが,これが結構ボリュームがあって凄かった.これだけをつまみに二合くらい呑んだと思う.
さて,ここの酒は,基本的に純米・お燗である.湯煎徳利で出してくれるが,温度調整のために徳利を出しておくためのコースターも出してくれるのが嬉しい.基本的に酒の品揃えは井のなかと松の屋と重なるが,今回はどちらかと言えば,他で飲まないようなものをセレクトしてみた.旭菊は,しっかり造られた「これぞ純米酒!正統派お燗!」という酒.いづみ橋は,二種類ある中で相談して選んだのだが,冷やでは雄町らしくかなり酸が多い感じだが,これをかなり温度を上げると,まとまって芳醇な味になる.これは良い.妙の華は生もと,90%精米,低アル(14%)というかなり挑戦的な造りで,冷やで口に含むと酸が突出しているが,全体的に味が薄いという感じがする.「できる限り高い温度でお燗してください」と言われたので,味を確かめながら温度が上がるのを待つと,やはり温度が高くなると一気に味が出てきて,非常にバランスが取れた感じになるし,低アルなので米の味が素直に出ている.ぐぐってみたら,冷やとぬる燗で呑んで,あまりよくないと書いている人がいたが,その人は明らかに人生を損していると思う.最後に竹鶴の純米にごり.最初は竹鶴を避けようかなと思ったのだが,ここも竹鶴が一番のメインで,しかも他ではもうなくなったようなビンテージでもあると自慢げに言っていたのだが,やはり出荷当時には暴れ馬だった酒も,ここまで来ると存分にその芳醇さを味わえるようになっている.店主によると,冬に牡蠣と合わせるつもりでかなり在庫しているそうなので,それが楽しみだ.
最後に,この店は確かに非常にレベルが高く,遠方からでも足を運んで損のない店の一つだ.ただ,22時の壁があるので,コースでしっかり食べるか,それとも遅く行って軽く呑むかを事前に考える必要はありそうだ.そもそも,私のように予約しないで来る客は珍しいらしい(爆…いや日本酒バーだと思っていたもので…)