歓喜の歌(渋谷アミューズCQN)

その後,「人のセックスをわらうな」を見ようと思ったが,今日も夕方まで満員で入れず(泣)来週からは新宿武蔵野館でも上映されるので,多少は緩和されるかな…上映館が少ないとはいえ,ここまで動員するとは期待できるな…というわけで,今日は「歓喜の歌」.
この映画は,立川志の輔新作落語が原作で,それをうまく映画化していると思う.このトラブルを引き起こす怠慢な公務員であるみたま文化会館主任・飯塚正は小林薫が演じるが,(たぶん落語がそうなので)非常に癖の強いキャラクターである.
とにかく,この映画で特筆すべきは,みたま町コーラスガールズのリーダーの五十嵐純子を演じた安田成美.五十嵐純子はほんわかで明るく能天気で前向きな魅力的な役(どんな人も許容するという点で天使みたいなのだが,犯罪さえも許容してしまう(苦笑))なのだが,それをこんなに巧かったのか!とびっくりするくらいの演技を見せてくれた.しかも,凛とした美人っぷりは結婚前より磨きがかかっており,自転車で駆けつけるシーンでさえも,美人っぷりが存分に発揮されていた.さすがに指揮をする後ろ姿では素人っぽさが感じられるものの,前から撮影したシーンでは,もう10年くらい指揮しているのでないか?という化けっぷりであった.映画は6年ぶりらしいが,銀幕の世界に帰って来てくれてよかった….
音楽的には,みたまレディースコーラスのリーダーの松尾みすず役の由紀さおりと姉の安田祥子,そして平澤由美が支えていて,特に平澤由美がソロで歌うシーンは感動もの(あまりに上手くて,どう考えても主婦の趣味の範囲を超えているのだが(笑)).
これを支える役者陣も素晴らしく,主に出てくる役者でも伊藤淳史根岸季衣藤田弓子猫背椿片桐はいりなどの非常に個性が強い人達で,しかもちょい役としても笹野高史(警備員),斉藤洋介(市長),筒井道隆(リフォーム屋の客),波岡一喜ニートの息子役)が出てくるという豪華っぷりだ.さらに,立川一門(立川談志立川志の輔立川キウイ)も!要するに,配役には一切の妥協がなく,力の強い事務所の影響力が見られないのが非常に良い(変な配役で台無しにしているドラマや映画がどれくらいあることか…).新人でも,藤田弓子が演じるリフォーム屋兼中華料理屋の女将さんの娘役の朝倉あきは,母親について長々と語る非常に印象的なシーンがあるのだが,これも素晴らしい.
エンディングには,クレイジーケンバンドが歌う「あの鐘を鳴らすのはあなた」が流れるのだが,次の台詞がまさに(特に飯塚正から見た)五十嵐純子のキャラクターであろう(この映画の内容に合わせて男女を逆転させるために,和田アキ子ではなくクレイジーケンバンドにカバーさせたのだと思う).

あなたに逢えてよかった
あなたには希望の匂いがする
つまづいて傷ついて泣き叫んでも
さわやかな希望の匂いがする

これは笑って泣ける良い映画だと思う.お勧め!!!