篠田酒店(静岡市清水区)

田舎に帰るついでに日本酒を購入.残念ながら店主は不在だったので,いつものように1〜3月の地酒瓦版を貰って,それを見ながら物色…したが,結局最初に頭に描いていた二本を購入.一本は,杉錦の天保十三年山廃純米酒.これは杉錦としては珍しい低精白の酒であり,ホームページに次のように書かれている.

 この酒の味わいで一番特徴的なのは酸度で2.5あります。現代の普通の純米酒と比べてかなり高めですが、大正、昭和の初期くらいまではこれくらいが当たり前で、現在のように酸度が低い時代は日本酒の歴史の中ではむしろ例外かもしれません。昔は生もと、山廃仕込で米は磨いておらず、木桶で醗酵温度は高かったので自然にこれくらいの酸度になりました。現代は酸の少ない添加酵母で速醸酒母を立て、清潔なホウロウタンクで低温醗酵させるので酸は高くなりません。
 我々もこれが進歩だと思ってました。酸の少ない酒は口あたりが良く、特に吟醸酒のコンテストでは酸が少ないほうが有利です。しかし、普段飲む酒がみな酸が少なくなってしまった現状が、日本酒の需要減少の遠因かもしれない気がします。日本酒と比べ酸の高いワインがかなり日本人に浸透してきた事からも、自然な酸味を日本酒の味の大事な要素として復活させたいと考えました。
 この酒では山廃酒母と仕込配合の工夫で酸を高くしましたので、含まれる酸は伝統的な日本酒と同じくコハク酸と乳酸が主体です。

実は,これを見てすぐO塚屋のK子氏にメールしたのだが,低精白酒は杉錦のイメージじゃないことと,一回火入れだと冷蔵保存しないと劣化する可能性があるので考え中…のままの可能性高しという返答が来たのであった.すでに生酛と玉栄純米を扱っているので,あまり増やすわけにはいかないのだろう.酒屋は商売だから大変だなあ…と思う反面,特に「しかし、普段飲む酒がみな酸が少なくなってしまった現状が、日本酒の需要減少の遠因かもしれない気がします。日本酒と比べ酸の高いワインがかなり日本人に浸透してきた事からも、自然な酸味を日本酒の味の大事な要素として復活させたいと考えました。」という心意気を応援したいという気がしているので,一升瓶一本と四合瓶一本(←これはK子氏へのおみやげ)を購入したのであった.ただし,本当はこういうお酒は秋まで待つのがよいだろうけど.
もう一本は,風の森の雄町で,地酒瓦版には「「この酒を一年寝かせると,いい燗酒になりますよ.」と蔵元山本氏は語っていた.当店の冷蔵室にその一年ものが数年あるはず.」と書いてあったので,さっそく奥さんに17BYを探してもらったが,残念ながら見つからず.これは生だけど,常温放置する予定.
この二本は,日本酒関係者を呼ぶ引越パーティで出す予定なので,お楽しみに.他にも出張先でO塚屋にないような酒も仕入れてくる予定.