酒友館(泉橋酒造株式会社)

先日飲んだとんぼラベル8号の変態っぷり(80%精米,日本酒度+23,アルコール度数19.8%!)が面白かったので自分でも入手したかったのだが,ホームページを見ていても東京では適当な酒屋が見つからない(神奈川は多いんだけど…).それに,見つかってもあまりの変態っぷりに飲めないという客が続出しそうという理由で店も置いていない可能性も高いので,どうしよう…とかんがえていいアイデアが閃いた…泉橋酒造に直接買いに行けばいいじゃん!(爆)ここは海老名駅から歩いて20分,もちろん普段蔵を公開しているということはないのだが,「酒友館」という試飲・販売を行うところが併設されているのだ.以前からS井氏と行きたいという話をしていたのだが,思い立ったが吉日で買い出しに行くことにした.
泉橋酒造はR246のすぐ近くの田んぼに囲まれた中にあった.酒友館は入口近くの土蔵を改造した建物.入口がわからなかったので一周してしまったけど,中に入ると日本酒・梅酒やとんぼグッズだけでなく,米(当日は白米は品切れ,近くの農家が栽培した黒米はあり),味噌,醤油,みりん(残念ながら,今はみりんの製造免許を卸してくれないそうなので,仲が良い杉井酒造のもの),酒粕(大人気のためか,当日は品切れ)という魅惑的なラインナップが…いや,本当に来てよかったと,すでにこの時点で感激.
一周見た後に,カウンターの中にいる男性に「試飲できますか?」と聞くと,「どういうお酒がいいですか?」と聞かれ,「あまり華やかじゃない奴」と答えると,さっそく何本か取り出して,ここのオリジナルのとんぼの平杯で試飲をさせてくれた.飲んだのは,とりあえず以下のようなラインナップ.

  • いづみ橋 とんぼラベル4号 純米酒 神力 19BY
  • いづみ橋 とんぼラベル6号 山廃純米酒 山田錦(80%) 19BY(←ちょっと記憶があやふや)
  • いづみ橋 とんぼラベル8号 純米酒 山田錦(麹米:50%,掛米:80%) 19BY
  • いづみ橋 青 青ラベル 純米吟醸 山田錦T(麹米:50%,掛米:55%) 協会9号
  • いづみ橋 山廃純米吟醸 紀 海老名産山田錦(麹米:50%,掛米:55%)
  • いづみ橋 秋とんぼ 山廃純米酒 自社田栽培雄町(麹米:50%,掛米:55%) 18BY
  • いづみ橋 純米梅酒 山田十郎 十朗梅 山田錦

同じとんぼラベルでも,開栓時期の違いにより味が違い,今日開栓したばかりの6号は一口目はかなり炭酸風味が強かったので,ゆっくり飲むとそれだけで味が変わって行く.なお,期待していた8号は開栓から時間がたっていたのでちょっと生老ね香がした(たぶん,あまりの変態っぷりに,試飲する人が少なかったのかもしれない).神力や山廃は非常に好印象で,お燗すると美味しそうだった.梅酒はかなり糖分を抑えているらしく,素晴らしい味だった.ソーダで割って食前酒にするのもよさそうである.
相手をしてくれた男性は米作りもしている蔵人で,最初はもの静かだったけど,そのうち話が止まらなくなり,すまないことに結局閉館時間を大幅に超えるまで話し込んでしまった.話した内容は以下の感じかな.

  • 私が最初に「あまり華やかじゃない奴」と言ったのが嬉しかったらしい.というのは,ここは食中酒を指向していているから,蔵ではお燗でもよく飲むらしい.確かにお燗グッズは沢山売っているからなあ.
  • やはり,速醸より山廃の方が味が乗るので,今後は少しづつ山廃を増やして行きたいとのこと.ただ酛場を占有する時期がかなり長くなるので,簡単にはできないけど.
  • 槽搾りは味が違うので,できる限りこだわりたいとのこと.
  • 雄町,神力,亀の尾は一旦消えただけの理由はあり,例えば,雄町は心白が大きすぎ精米歩合を上げられず,神力は心白が流れてしまい,この点ではやはり山田錦は凄い.また,雄町と亀の尾は高さも高くなり(昔は藁も有効に活用していたこともあるらしい),さらに亀の尾は収量も少ないので,農家に頼むのはすまなくて,自分(←つまり相手をしてくれた人!)で作ってますとのこと.
  • 低精白酒は今後の流行ということで意見が一致.精米歩合を下げなくても今は味が濁らず,逆に上げた方が味がのるから.
  • 現在,とんぼのシンボルを使っているのはとんぼラベルと夏ヤゴだが,酒販店から春がとんぼで,夏がヤゴなのはおかしい,秋にもとんぼを出荷しろ!という意見が多いらしい(笑).まあ,実際には単に「とんぼラベルで秋上がりを出してください」ということだが,その要求に答えて昨年少数限定出荷したのが「秋とんぼ」で,とんぼが飛ぶおなじみのイラストに紅葉が追加されているラベルである.ハレルヤと違うのは,こちらは山廃なのだ!
  • 黒米があったので,これで作らないんですか?と聞いたら,一時期やりたいと思ったこともあるが,酒袋が染まるので躊躇したとのこと.
  • 日本酒で梅酒を仕込んでいる酒蔵は多くても,純米酒で梅酒を仕込んでいる酒蔵は少ないんですよとのこと.その理由は再発酵防止のためにアルコール度数が20度以上を要求する法律にあり,華やかなお酒を作っている酒蔵ではそんな純米酒は作れないのでアル添するしかなくなる.そういう純米酒を仕込むには,基本に忠実に完全発酵させる必要がある.
  • ビンテージものの梅酒を飲んでみたいと言ったら,造り始めのころは完売してしまったけど,今は少し熟成に回すようにしているので,そのうち発売しますとのこと.なお,ビンテージの梅酒の味わいは,熟成した日本酒の味がかなり前面に出てくるらしい.
  • 酒友館に来た人をユーザ登録していて,後から酒蔵見学の招待状などを出してくれるらしい.別にメールでもいいんですけど…と言ったら,一度メールにしたら,書き間違いや読めなかったりが続出して,あきらめたらしい.

なお,最終的に以下のものを購入した.秋とんぼはちょっと期待してくれていいと思う>29日の引越パーティ参加者

  • いづみ橋 秋とんぼ 山廃純米酒 自社田栽培雄町(麹米:50%,掛米:55%) 平成18酒造年度 製造年月2008年4月(神奈川・泉橋酒造株式会社)
  • いづみ橋 とんぼラベル8号 超辛純米酒 槽場直詰め・無濾過生原酒 山田錦(麹米:50%,掛米:80%) 19BY 製造年月2008年3月(神奈川・泉橋酒造株式会社)
  • 飛鳥山 純米本みりん 2004BY 製造年月20年3月(静岡・杉井酒造有限会社)
  • いづみ橋特注品 黒大豆味噌 黒大豆・米麹(山田錦)・天然塩(神奈川・泉橋酒造株式会社)
  • とんぼの平杯

なお,ホームページでは酒器類は1ダース単位だが,ここでは1個単位で購入できる(のを知らなかった…それなら徳利も頼めばよかったorz).実はるみちゃんの誕生日プレゼントに新製品のとんぼの湯燗徳利も買いたかったのだが,残念ながら品切れ.現在はまだ歩留まりが悪く出荷数が少ないかららしいが,取手付きの湯煎徳利も面白いと思っている(白の湯煎徳利に着物美女というのも絵になる気が…).
現在はとんぼラベルがほとんど出荷されて品切れになりつつあるが,次は6月頃に神力や夏ヤゴが出荷されるので,その頃にまた行ってみたい.他にも行きたい人がいれば一緒に行こう!