第16回酒べ会 「黒松仙醸 こんな夜に…」(居酒家べっしゃん・東伏見)

今回は以前から注目していた「こんな夜に」を造っている杜氏の丸山慎一氏を迎えての酒べ会.株式会社仙醸は2000石も生産しているのだが,「こんな夜に」シリーズは今期はわずか30石強.丸山氏は「こんな夜に」の専任杜氏であり,今年が5年目だ.

なお「こんな夜に」のホームページに,出荷情報,取り扱い店,イベント情報が書かれているので,興味がある人はぜひ見て頂きたい.スペックをラベルに書くと印象が左右されてしまうので,あえて書かないようにして,ホームページで公開しているそうである.
この日のラインナップは以下の通り.「こんな夜に」シリーズは月と山椒魚・山女・鹿・雷鳥などの素敵なイラストのラベルが印象的だが,デザインしたのは中川商店の知り合いのイラストレータ・陶芸家の堀込和佳氏らしい.今までは1〜2本ぐらいしか見たことがなかったが,ここまで一気に揃えると壮観で,この場に居れることをお酒の神に感謝したくなるくらいだ.

  1. 黒松仙醸 こんな夜に 満月 大吟醸雫 斗瓶7号 瓶燗急冷 兵庫県山田錦(40%) 協会1801号 アルコール分17.8(長野・株式会社仙醸)平成22年度全国鑑評会金賞受賞酒
  2. 黒松仙醸 こんな夜に 満月 純大吟 雫 斗瓶囲い/瓶燗急冷/氷温貯蔵 中川商店特別誂え 信州産ひとごこち(40%) アルコール分16.6 製造年月H23年5月(長野・株式会社仙醸)
  3. 黒松仙醸 こんな夜に 山椒魚 純吟奔酒(はしりざけ) 信州産ひとごこち(50%) アルコール分17.2 製造年月23年4月(長野・株式会社仙醸)
  4. 黒松仙醸 こんな夜に 山椒魚 21by瓶火入 信州産ひとごこち(50%) アルコール分17.2 製造年月H23年1月(長野・株式会社仙醸)
  5. 黒松仙醸 こんな夜に 山女(やまめ) 純吟奔酒(はしりざけ) あらばしり生 信州産美山錦(55%) 長野D 製造年月H23年1月(長野・株式会社仙醸)
  6. 黒松仙醸 こんな夜に 山女(やまめ) 純吟 生 中取り・無濾過生 長野県産美山錦(55%) 長野D アルコール分16.8(長野・株式会社仙醸)
  7. 黒松仙醸 こんな夜に 鹿 特別純米 生 信州産ひとごこち(60%) アルコール分17.6 製造年月23年5月(長野・株式会社仙醸)
  8. 黒松仙醸 こんな夜に 鹿 純米禮葉(らいは) 20by生 中取り -5℃貯蔵 長野県産ひとごこち(60%) 日本酒度+2 酸度1.6 アルコール分17.5 製造年月H21年4月(長野・株式会社仙醸)
  9. 黒松仙醸 こんな夜に 雷鳥 純米 生 信州産美山錦(70%) K701 アルコール分16.8 製造年月H23年1月(長野・株式会社仙醸)

このうち,ベストバランスと考えているのが4,レギュラー酒が7,お燗向きが7〜9だそうだ.基本的に香りは控えめで酸もあるタイプで,私が気に入ったのは2の燗,3の燗,5の冷や・燗,8の冷や・燗,9の冷や・燗であった.
なお,黒松仙醸の専用ぐい飲みも頂いたが,上部が青い空の色で,なかなか素敵だった.

この日の料理は以下の通り.

  • おまかせパレット(甘えび,蛸,鮪,イカの沖漬,鰹の叩き,サーモン,タン,セロリの漬物).同じく「こんな夜に」ファンのゆうゆも参加していたのだが,彼女は肉食系・醗酵系美少女で生魚系は苦手なので,彼女が食べれないものと交換してあげた.

  • おにぎり


丸山杜氏はとにかくマシンガンのようにいろいろなことを喋る人で,いろいろ教えて頂いたのでメモしておこう.

  • 「こんな夜に」は四合瓶は出さない.理由は簡単で,せっかくデザインしてもらった素敵なラベルが見えないから(爆)
  • 基本は,中取り・無濾過・無加水.出品酒を除けばすべて純米で,生酒の出荷量も少ない.
  • 仕込み水は硬水である.
  • 酸は意識して造っている.
  • 1種類タンク1本だが,悪い場合は出荷しない.
  • 生酛系の造りもやってみたいが,仙醸の蔵は工場のように清潔すぎるので,蔵付きの乳酸菌や酵母が少なく,向かないと考えているそうである.現在は高温糖化酛を使っている.
  • 最近の出品酒は協会1801やM-310が増えたのだが,独特の渋みが残ってしまうそうである.
  • 長野は一時期アルプス酵母が一世を風靡したが,今は長野酵母などに移っている.その理由は,アルプス酵母は新酒時にはよいが,秋に向かって味乗りしないため.
  • 7は夏向き生として提案しているが,他の蔵はブルー瓶が多いので,あえて茶瓶にしている(笑)次の写真の汗かきおじさんが夏向きのマークで,冷やおろしは秋刀魚マークらしい(笑)

  • 丸山杜氏曰く「中川商店はデンジャラスなお店」らしい(笑)

別府氏,丸山杜氏,中川商店様,どうも素敵な酒の会をありがとうございました.
(追記:なお「こんな夜に」というフレーズがRCサクセションの「雨上がりの夜空に」に使われているのを思い出して,別の酒の会で丸山杜氏に会っていたチェレステにTwitter命名理由を聞いてもらって,「飲み屋に入ったときにお客さんにうったえるフレーズをイメージして何人かで考えたらしいです。「今夜は何飲もうかな〜」ってとこにこれをって感じで。後でキヨシローといっしょだね〜と気付いたらしいです。」という答えを頂いた.)