和酒の店 杉玉(新井薬師)

共著者の原稿をチェックしようと会社で待機していたが,Twitterで「だめだ・・・もう1時間くらいかかりそうです・・・スミマセン。」という返事が来たまま,2時間経っても音沙汰なし.格闘している様子はDropboxの更新状況でわかるので,どうせ〆切は明日夕方なのであえて催促しないことにして,スパイラルに一緒に行こうというメールを出して無視されてしまった「杉玉」に一人で軽く呑みに行く.スパイラルからプレオープンの様子を聞いていたが,さらに京都の「今宵堂」でぜひとも行ってくださいと勧められたのである.
「杉玉」は新井薬師前駅の南口を出て,西武新宿方面に少し戻ったビルの地下にある.地上から大きな「杉玉」が見えるので,これを目印にするとよいだろう.

そこで階段を降りると大きな暖簾があり,その左側にカウンター席だけのお店があり,店長の久保澤氏が迎えてくれる.知っている人しかわからないが,いかにもでじゃさん好みの店である(笑)

食べた料理は以下の通り.当日の料理メニューと定番メニューの2種類があるが,食事を済ませてからお酒が目当てで来た人には杉玉の肴三種盛り(800円)が嬉しい.料理の傾向がなんとなく偏っていると思ったら,久保澤氏は以前マクロビオティックのお店で働いていたこともあり,味噌と酒粕を使った料理に力を入れているそうである.

  • お通し:蒼空の酒粕を使ったあったかいスープ,醤油の実

  • 杉玉の肴三種盛り.チーズの塩辛,切り込み,ミックスナッツの味噌和え.


呑んだお酒は以下の通り.この店は,「天野酒」,「北信流」,「三芳菊」,「蒼空」の4種類の日本酒が定番で,他にいろいろな熟成古酒を揃えている.傾向としては無濾過生原酒+古酒がメインか.もちろん,酒器は「今宵堂」である.標準は120mlだが,関西のようにハーフサイズの60mlでも呑め,しかもスペック違いで飲み比べセットにもできる.もちろんお燗も大丈夫だ.

  • 天野酒 七号酵母 純米 無濾過生原酒 福井県産五百万石(60%) 協会七号 日本酒度+5 酸度2.3 アミノ酸度1.5以上 アルコール分17〜18 製造年月22年12月 蔵出年月23年9月(大阪・西條合資会社)燗…山本スペシャ
  • 天野酒 古伝生酛 純米 無濾過火入酒 福井県産五百万石(60%) 酵母無添加 日本酒度+5 酸度2.3 アミノ酸度1.5以上 アルコール分15〜16 製造年月21年2月 蔵出年月23年10月(大阪・西條合資会社)燗…山本スペシャ
  • 蒼空 特別純米 短稈渡船 生原酒 渡船二号(60%) アルコール分17 製造年月2011年10月 (京都・藤岡酒造株式会社)燗
  • 蒼空 純米 山田錦 16BY(京都・藤岡酒造株式会社)冷や…これは開店サービス酒で安かった.
  • 蒼空 蔵にあったたぶん4年ぐらい前の蔵元も何か覚えていない黄色い常温熟成酒(笑)(京都・藤岡酒造株式会社)冷や…少しだけ試飲させてもらったが,濃厚なフルーツの味わいがする,なかなかお目にかかれないお酒だった

これで3,590円だった.
お酒はオーナーと久保澤氏の思い入れの強さで決めたそうだが,正直言えば,最初スパイラルから聞いた時は「4種類だけでやっていけるのかねえ…」と思ったのだが,「天野酒」は蔵人・山本克明氏が特別に仕込んだ山本スペシャルだけを入手できる限りすべて(約一ダース)用意しており,「蒼空」も蔵元でしか入手できないものを含めてすべてと外販されていない古酒,「三芳菊」は蔵にあるお酒をこの店のために特別に瓶詰めしてもらっているそうである.まさか,ここまで凄い店とは思わなかった.
残念ながら,関東では「天野酒・山本スペシャル」や「蒼空」が呑めるところはほとんどなく,これらのお酒の実力を知っている人はまだ少ないだろうが,どちらもかなりレベルが高いお酒なのだ.しかも,「蒼空」の京都限定?のお燗向きの短稈渡船とか「蒼空」の古酒などは,京都・大阪でも簡単には呑めないと思う.日本酒好き・発酵食品好きは,ぜひ行くべし!
なお,Twitter (@washu_sugidama)でメニューや営業時間の変更などを呟いているので,興味ある人はさっそくフォローしよう.
追記:あとから気が付いたのだが,共著者とスパイラルからは,会社を出た直後ぐらいに連絡があったようだ…タイミング悪し.