カンパイ! 世界が恋する日本酒(シネ・リーブル梅田)

木下酒造のフィリップ・ハーパー杜氏が出演するというので見にいった.「一献の系譜」が能登杜氏四天王という「杜氏」という日本古来から存在する酒造職人集団を描いたのに対して,この映画は新しい杜氏の姿を描き出している.
例えば,南部美人五代目蔵元の久慈浩介さんは杜氏の高齢化と酒造り技術の進歩により生まれた蔵元杜氏として,フィリップ・ハーパーさんは日本以外で生まれて異なる文化的背景を持つ外国人杜氏として,ジョン・ゴントナーさんは酒だけでなく酒造りも海外に広める伝道師として選ばれたように思う.
特に印象に残ったのは,NYの酒の会における「日本酒を和食以外の料理に合わせることが普及しつつある」台詞とか,ハーパー杜氏の酒の会で個々のお客に一生懸命説明してくれる真摯で人懐っこい様子とか,ハーパー杜氏とゴントナーさんの共通点とか.
ドキュメンタリータッチで進行するが,日本人らしくない硬派でよく練られたストーリーだなと思ったら,小西未来監督は南カリフォルニア大学映像学部を卒業してロサンゼルスに住んでいるらしい.映像もとても綺麗だった.
日本酒好きにはぜひ勧めたい映画だ.なお,シネ・リーブル梅田では,チケットを買うとコーヒーが150円になるお得なサービスもやっているので,コーヒー好きは忘れるな!