鴨川ホルモー(新宿ピカデリー)
万城目学作品を映画化した「鴨川ホルモー」.小説が出版された時に友人から「絶対面白いから読め!」と連絡が来て,映画を見るまでは…と待ちに待っていたが,予告編で「なぜチョンマゲなのか?」(作品中でその理由が明かされる),「なぜ大木凡人似なのか?(笑)」と期待が高まっていた.
さて,ストーリーは万城目学作品らしく荒唐無稽だが緻密に組み立てられていて,かなり引き込まれる.後半はちょっとグダグダになっている感はある(たぶん映画用に圧縮したからであろう)ものの,充分楽しめる.
山田孝之は「電車男」よりもナチュラルにダメ男を演じていて,なかなか良い.特筆すべきは,友人の高村役の濱田岳と,先輩の菅原真役の荒川良々であろう.あと,龍大フェニックス会長の立花美伽役の佐藤めぐみの美しさ・凛々しさが非常に目立っている.それにしても,栗山千明も自らの美しさを封印して「凡ちゃん」(大木凡人似の女子大生)役を引き受けるとは…その果敢なチャレンジ精神を高く評価したい(最近変な役ばかり選んでるよね?).
それ以上に思い入れが深くなってしまうのは,映画中の風景である.K大キャンパスのボロい生協・食堂・講義室とか(それにしても,K大はなんでこんなにボロいのであろう?(爆)T大とは比べ物にならない気がする.まあ実はすでにかなりきれいになっているけど,映画ではわざわざボロいところだけを写しているのかもしれないが),百万遍とか,出町柳駅とか,もう懐かしい風景ばかり.なお,作品中に「百万遍寮」として出てくるのは,かの有名な「吉田寮」だが,あれはさすがのK大生でもほとんど足を踏み入れることのない魔窟である.その理由の一つは活動家が潜伏するなど寮生以外の人間も沢山暮らしているらしいこと,もう一つは吉田寮に入寮した学生はほとんど授業に出てこないからである.もし,本当の吉田寮で撮影をしたのなら,かなり画期的なことかもしれない.
思い入れが強すぎてまともに判断できないが,少なくともK大関係者はぜひ見るべし.最後におまけの「オニ」の剥製(笑)