「料理男子vol.3」の「はじめてのカイ燗♡」騒動について

お知らせ:Twitter料理男子 by dancyuで「料理男子」の編集長の江部拓弥さんが以下のように自分の行動に問題があったことを公式に認めたのは一歩前進です.

【料理男子3号本日発売!】 今号の「はじめてのカイ燗」。吉祥寺においしい燗酒が飲める「カイ燗」という名前の居酒屋があり、店主様にはたいへんご迷惑をおかけしました。深く御詫び申し上げます。

しかし,「カイ燗」の店主本人に直接謝罪しなかったのは逆効果でした(参考:「Who killed the KAIKAN?2012」).こういう時は,当事者に最初に謝罪しないと,火に油を注ぐ結果となってしまいますので….また.すでに印刷されていた書籍ならともかく,その後の新たなイベント告知などで店名を使用している部分が残っていますが,出版社として知的財産を大事にする模範を示すためにも,なるべく使わないようにした方がよいと思います.なお,もしこのミスを最初にしたのが部下の編集者だったとしたら,その人が辞表を出して来ても決して辞めさせてはいけません.誰でも間違いをおかしますし,それは誠意を持って対処すれば解決できるはずなのに,今回は簡単に解決できるはずの問題を江部拓弥さんの対処に問題があってこじらせただけで,部下には責任はないからです.江部拓弥さん本人はここを読んでいないと思いますが,周囲の関係者のみなさんが読まれたら,よろしくお願いします.今後は私も応援のメッセージを書くつもりです.以下からが,最初に書いた文章です.
日本酒関連で特に印象的な店名を挙げろと言われたら,「蔵朱」も凄いなと思っていたけど,やっぱり東の「カイ燗」,西の「燗の美穂」であろう.
「カイ燗」は燗酒不毛地帯と言われていた吉祥寺に突然現れた純米燗酒専門の日本酒バーである.その後開店した若き才能あふれる店主の「ひまり屋」・「にほん酒や」に影響を与え,すでに存在していた立ち飲み居酒屋「笑門」を純米燗酒立ち飲みに転身させ,さらにタイ料理店ラコタ」にまで日本酒を置かせてしまい,吉祥寺を一躍「日本酒の熱い街」にしてしまったという凄い店である.
その店主の小倉さんを「初めて(店名で)負けたと思った」と言わしめたのが「燗の美穂」である(命名は確か「かむなび」の伊戸川さんだったはず).店主の美穂さんが開店直前に関東行脚して,訪問された「カイ燗」,「作」,「松の屋」などが自分の店のお客に積極的に紹介したこともあり,それらのお客が「燗の美穂」とそこで紹介された大阪の店を行脚し,関東と関西の橋渡しをすることとなった.そういう良い状況だったのだが,以下のような少し不穏な話が知人(小倉さんではない)からメールで伝わって来た.
dancyu」は,2012年1月14日(土)に「料理男子vol.3」というムック本を発売し,それに合わせて1月13日(金)にスタンダードブックストア心斎橋で掲載記事「はじめての「カイ燗」」に合わせて「教えて、はじめての「カイ燗」 燗酒付きトークショー」を開催する.「dancyu」は「カイ燗」の記事を掲載したこともあるし,別冊の編集長も「カイ燗」がすでにあるお店の名前だということも承知していたにもかかわらず,「カイ燗」の店主の小倉さんには何も相談しなかったらしい.それで,その記事とイベントの存在をお客に教えられて初めて知った小倉さんがやんわり抗議の電話をしたら,数日後に別冊の編集長が訪れて,「そちらが商標登録を取った(今はとってないらしい)としても,弊社には何ら問題はない」と豪語して帰った…という事情を説明した上で,「カイ燗」側にいろいろ味方してあげて欲しいとお願いされたのである.
小倉さんも江戸っ子で気が短くてまっすぐだから,売り言葉に買い言葉でこじれちゃったのかもしれないので,伝わって来た話をそのまま信じるわけにもいかない.でも,すでにこういう話が裏で流れている状況って,ものすごくまずくないですか?
まず,「dancyu」も,自分の書籍に協力してくれた飲食店にこのような仕打ちをするという評判が広まったら,直接被害を受けた側の人達だけでなく,他の飲食店や読者までが決して良い印象を持たない.出版不況の今,そういう焼き畑農業みたいな編集方針(真実は違っていたとしても,そう思われたら!)が安泰とはとても思えない.
小倉さんの側も,明らかに自分の店名とわかった上で,記事やイベントなどに活用されたら,サーチエンジンで検索してもなかなか見つからなくなったり,純米燗酒界のパイオニアではなく,単に雑誌の記事の尻馬に乗っただけの軽薄店主と誤解されるかもしれない.
また,私のようなお客の側も,こういう話を聞いて決して良くは思わない.また,せっかく仲良くやっていた関東と関西の飲食店と客の仲を険悪にしたり,無関係な「日本酒うさぎ」の店主のきくちゃんまで,とばっちりを喰らう可能性すらある.
でも,これって,本当はものすご〜く簡単な話だと思う.いくら顧問弁護士が法律的に問題ないと助言したとしても,自社に協力してくれていた飲食店にこういう仕打ちをするのは世間常識としてありえないし,結局「カイ燗」という店名がものすごく素晴らしいキャッチフレーズなんだ!ということを認めたということなんだから,それを正直に小倉さんに訴えて,記事やイベントに使う承諾を取って,その代わりに,オリジナルが小倉さんのお店の名前だということを記事やイベントで紹介すればいいだけじゃなかっただろうか.また,せっかくの面白いイベントを大阪だけでやるのももったいないから,関東でも開催して,それに「カイ燗」の小倉さんにも協力してもらえばいいんじゃないだろうか.
というわけで,誰か,「料理男子vol.3」の編集長に,もっとよい解決法を選ぶように進言して頂けないでしょうか?発売前・イベント前なら,打つ手はいろいろあると思いますので,どうかよろしくお願いします.
注意:この文章は「カイ燗」の小倉さんにはまったく相談せず・問い合わせず(情報源は信頼できる人です)に書いたので,彼には一切の責任はありません.文責はすべて私にあります.
追記:仕事で関連がある飲食店,酒販店,酒蔵,出版関係者で,表立って意見を表明できなくて歯がゆい思いをされている方々もいらっしゃいますが,黙っていた方がいいと思います.私は何のしがらみもない客&読者だから,素直に「それって,関わった人達全員が損するんじゃない?逆に,みんなが得する方法が何かあるでしょ?」と言えるわけです.後から,「dancyu」編集部や「料理男子」創刊に関わった関係者は,とてもそのようなことをするとは思えないとも聞きましたので,非常に限られた範囲の話でしょう.そうだとしたら,自浄作用があるまともな会社なら,上司が「お前,うちの雑誌は飲食店のおかげで喰わせてもらってるんだろ?それなのに,逆に不義理なことをしてどうする!」と一喝すれば解決する程度の問題にすぎません.