蕎麦きり さいとう(伊奈中央)

まっとうな蕎麦と燗酒が味わえる「蕎麦きり さいとう」が以前から気になっていたのだが,ブログ「まき子の酒」の記事を見たら,7月末までの季節限定の冷やし湯葉そばと穴子料理がどうしても食べたくなってしまった.
結構遠いのだが,JR湘南新宿ラインで二駅目の大宮でニューシャトルに乗り換えて20分と,意外に簡単.ほとんど何もない伊奈中央駅に降り立って店に行くと,な,なんと蕎麦がなくなったので4時頃再開という無常な張り紙が!仕方がないので,近くの喫茶店とコンビニとドラッグストアで時間を潰してから,再度訪問.
店内は端正で上品な感じで,四人掛けだけでなく八人掛けのテーブルもあった.まず,穴子の煮こごりと白焼き,煮込みとひこ孫を注文.穴子は鰻よりも脂が少なくさっぱりしていて,私はそれが好きなのだが,鰻と比べると若干物足りないと思う人も多い.しかし,あまり濃く味付けしすぎると穴子本来の味がわからなくなってしまう.そういう点では,穴子の煮こごりは素晴らしく,まず口に入れた瞬間は穴子本来のふっくらした味を味わって,その後煮こごり部分が解け始めると濃厚な出汁の味が広がる逸品.また,白焼きも淡白でふっくらした穴子本来の味を味わえていいのだが,さらに中骨を揚げたものがついてきて,これが香ばしくサクサクしていて,最高の酒のつまみだった.煮込みは鳥の首皮を八丁味噌で味付けをしたものなのだが,味わいがあっさり上品に仕上げてある.また,お通しは自家製山葵漬け.半分ぐらい食べたところで,さらに亀治好日を注文.
全てを食べ終えた・呑み終えたところで,冷やし湯葉そばとどぶ燗を注文.目の前に置かれて,湯葉が予想を上回るほど大量にあったのにびっくり.なお,食べ方はブログに書いてあるが,梅肉と紫蘇の葉が加わっていたようである.豆乳に味付けがされていたので,もり汁はあまり入れずに,湯葉を豆乳に浸したり,山葵や梅肉や紫蘇と一緒に食べたりする.蕎麦も,豆乳に漬かっていても蕎麦の香りがちゃんとして旨い.ふと思いついて,豆乳+どぶ燗で飲んでみたが,これは失敗…というのは,もちろん相性は悪くないのだが,一緒にすると互いの個性を殺してしまうのだ.食べ終えてからは,残った薬味と豆乳,もり汁で蕎麦湯を楽しむ.というわけで,非常に美味しい時間を堪能するとともに,満腹に.
お客が少ない時間帯を狙っていったこともあり,店主と話をすることができたが,蕎麦は普通の外二と十割では蕎麦の産地も扱いも違えているとのことで,特に力が入っているのは十割のようである.今回の湯葉そばの湯葉は,周辺の店を調べ歩いて,一番美味しいところから仕入れたとのことで,確かに非常に旨い.酒は他に竹鶴(秋鹿は品切れ)があったが,今度は鳥取の酒も扱ってみたいとのことだった.
次回は,十割せいろかまた季節限定メニューとともに,今回注文できなかった穴子天ぷら,玉子焼き,そばがき,そば豆腐,焼き味噌なども食べてみたいと思っている.ここはお薦め.